食前の乳製品で口臭を和らげられる

漢方で考える薬膳としても、ニンニクには疲労回復・強壮・免疫力を高める作用があるので、これから夏に向けて心身がバテたときにお勧め。日本漢方連盟理事長で漢方平和堂薬局店主、横浜薬科大学客員教授の根本幸夫氏がこう話す。

「体を温める作用が強く、気管支の粘膜を強化して、虚弱体質の改善もはかれます。また消化促進効果があるので、風邪などで弱った胃腸を整えるのに良いですが、生での多食は逆に胃腸に負担をかけるので控えましょう」

生食は、ニンニクに含まれる硫化アリル(アリシンが変化したもの)などが粘膜への刺激になるため、弱ったときは特に加熱していただきたい。

【図表】健康への近道! ニンニクが持つ5つの効果

さてニンニクを摂取すると、気になるのがやはり口臭。歯磨きでは消すことができず、食べたものが体から排出されるまで続く。完全に消失するまでは2日ほどかかるという。

「ただスパイスに使う程度の中華料理やイタリアンなどであれば、食後3時間くらいでほとんど気にならないレベルになると思います。またニンニクによる口臭を和らげるには、食前に牛乳やヨーグルトなどの乳製品を、あるいは食事中や食後に防臭作用のあるポリフェノールを含むものを取るといいでしょう。チョコレートやりんごでもいいですし、烏龍茶や緑茶などの飲みものも手軽ですね」(望月氏)

一般的な白いニンニクを高温高湿という一定の環境に置くことで熟成して黒くなる「黒ニンニク」では臭いがマイルドになって食べやすいという。

「熟成ニンニクとも呼ばれ、白ニンニクにはわずかしか含まれない、抗酸化作用や抗炎症作用をもつS-アリルシステインなどが熟成することで豊富になります。国産では青森県産が有名ですね」(同)

ニンニクをタンクに漬け込み、約2年の時間をかけて成分変化を待ち、熟成ニンニク抽出液を作っている湧永製薬は5月、熟成ニンニク抽出液の服用による運動能力の向上や認知機能の改善、歯周炎の改善効果を発表している。

食材としてのニンニクは食べた後の口臭が気になるが、逆にいえばそれこそが風味豊かで味わい深いともいえる。おいしいものを選ぶコツは「ハリがあってずっしりとし、りん片が隙間なく茎についているもの」(望月氏)だという。食べきれないときは薄皮をむいて1片ずつ丸ごとか、薄切りにしてラップに包み、保存袋に入れて冷凍すれば、2〜3週間はもつ。

最近は白や黒ニンニクだけでなく、目に良い作用のあるアントシアニン(ポリフェノール)を含む紫ニンニクや、ニンニクスプラウトも販売されている。新芽(スプラウト)には天然アミノ酸の一つであるGABA(ギャバ)も含まれ、通常のニンニクと同様に、血管に良い働きが期待できる。

一日の摂取量としては、生の状態で1片、加熱した状態で2〜3片程度が一般的だ。世界中で人々の健康を支えてきたニンニクを、自分に合った形で取り入れてみては。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月5日号)の一部を再編集したものです。

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