フルーツにはさまざまな栄養素が含まれているが、他の食材よりも糖質が多い。15年間ご飯、パン、肉、魚などを断ち、水やお茶も飲まず、実験的にフルーツ中心の食生活を続けるフルーツ研究家の中野瑞樹さんは「フルーツの糖質はお菓子よりも少ない。また日本人が不足しがちな栄養をフルーツで補うことができる」という――。

※本稿は、中野瑞樹『中野瑞樹のフルーツおいしい手帳』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

15年間フルーツ中心の食生活を続ける理由

「フルーツは甘いから、食べ過ぎには注意しましょう」と耳にしたことはあるだろうか?

じつは、フルーツの食べ過ぎについて、ヒトを対象に長期間調べた実験は存在しない。

あまのじゃくな私は、自分のからだでフルーツの人体への影響を調べることを決意。「そもそも食べ過ぎとはどれくらいか?」「たくさん食べる時に注意すべきことは何か?」なども調べるために、2009年9月から実験的に、肉も魚も、豆も芋も、野菜(トマトなどの実の野菜は除く)もご飯もパンも食べない、また水もお茶もお酒も飲まない、フルーツに偏った食生活を続けている。

フルーツは毎日の必須食品

国が進める健康プロジェクト、健康日本21(第三次)では、2032年度までのフルーツ類(ジャムを除く)の摂取目標量が1日200gと明記された。

これは、疫学調査(日本人以外も含む)の結果から、フルーツの摂取量が多い人(毎日200g以上)は少ない人と比べて、がんが8%、心臓病が14%、脳卒中が18%、肥満が14%、2型糖尿病が10%、高血圧が7%、それぞれリスクが低いことがわかったため。

また、国立がん研究センターも、野菜やフルーツを積極的に摂ることを勧め、WHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機構)も、がん・心臓病・糖尿病・肥満の予防のために、毎日400g以上のフルーツと野菜を食べることを推奨している。

ブドウ、バナナ、リンゴなど、さまざまなフルーツ
写真=iStock.com/AlinaMD
フルーツ類の摂取目標量は1日200g(※写真はイメージです)