1店舗の改善が数億円規模のコスト改善につながる

【ヨッピー】サイゼリヤに行って、お店を見てて気になったりすることはありませんか? 掃除が行き届いてなくて「ちょっと注意しようかな」とか。

正垣泰彦会長
正垣泰彦会長(永井浩撮影)

【正垣会長】私はお休みの日もサイゼリヤに行くんですね。お休みの日の日課は決まってて、1万歩歩いてサイゼリヤに行きます。従業員はたぶん「会長が来てる」なんて思わないでしょうね。私服で帽子をかぶって行くことも多いですから。

だからといって、その場で注意したりするようなことはしません。店舗の掃除が行き届いてなかったら、それは本部が悪いんですよ。掃除ができていないっていうのは「掃除していない」じゃなくて「掃除できない」んですよね。手が回ってない。つまりオペレーションの問題です。

サイゼリヤは約1500店舗ありますから、そのお店の店長と話して改善したところで1500分の1じゃないですか。それなら本部でオペレーションを改善して全店舗で共有したほうが1500倍効率が良いし、何億円っていうコストが浮きます。

「立地が最悪」だったから競争力がついた

【ヨッピー】では本部の方は会長から怒られる……?

【正垣会長】本部でも怒りませんよ。問題提起はしますけどね。それも同じ理由で、本部ができていないということは経営陣が悪いんですし、経営陣が悪いということは結局私が悪いんですよ(笑)。だから怒りません。

ヨッピーさん
ヨッピーさん(永井浩撮影)

【ヨッピー】著書で書かれているように、「結果が良くない時は、必ず自分が間違っている」という考え方に通じるものでしょうか?

【正垣会長】その通りです。サイゼリヤの1号店は、駅から離れた商店街の中にある長屋の2階で、立地は「最悪」だったんですよ。だからこそメニューを工夫して、値段も安くして、試行錯誤することでなんとか軌道に乗せることができたし、競争力もつきました。

逆に言えば、立地が良くて黙っていてもお客様に来てもらえるようなお店だったら、工夫したり改善したりしなかったでしょうね。結局全て自分次第なんです。立地のせいにして諦めていたら成長できないですから。だから店舗の掃除が行き届いてなかったとしても、従業員のせいと考えるのではなく「自分が悪い」と考えます。