先方のオフィスでキャリーケースをゴロゴロしない

基本的なマナーを守ることは、営業として「失点」をしないための条件です。

ところが、意外とマナー違反をしている人は多いのが現状です。

ここでは、“やりがちなマナー違反”をいくつか紹介しますね。

例えば、コート。

商談の際、隣のイスに畳んで置いていませんか。

これは完全なマナー違反です。

コートはレインコートと同じ扱いで、“汚れたもの”の扱いだからです。

いったんは、自分の鞄の上にコートを畳んで置きます。

お客様から「おかけしますよ」とお声がけをいただいたら、甘えても構いません。

そして、その鞄を置く場所にもケアが必要です。

間違えても隣のイスに置いてはいけません。

これも、コートと同様に“汚れたもの”の扱いだからです。

事務所に伺って商談をする際は、床に置きます。

ご自宅に訪問する際は、ハンカチを下に敷くといいでしょう。

出張で営業に行く際は、キャリーケースをゴロゴロ転がしながら営業に行くことはないでしょうか。

先方のオフィスに入ったタイミングで、ゴロゴロと転がすのはやめた方が無難です。

私は、先方の屋内に入ったタイミングでキャリーケースを持ち上げて運ぶようにしています。キャスター(車輪)は汚れているものだからです。

お客様から何度か言われたことがあります。

「ぜひ、転がしてください。でも、やはりプロですね」と。

話を伺うと、ご自身もそうしているというお客様も多いもの。

マナーの本には載っていないプロ営業の“見せ方”です。

営業の鉄の掟「靴」を磨かないと2つの意味で失礼

そして大切なのは靴。

靴を磨いておくのは営業の「鉄の掟」といってもいいでしょう。

革靴の紐を結ぶビジネスマン
写真=iStock.com/Copacabana
※写真はイメージです

「足元を見られる」という言葉がありますが、営業では「靴」を見られる意味で用いられることもあります。これには2つの意味があります。

1つは、靴の手入れができていない人は、いくら着飾っても、いくらいいことを言っても、人格としてはいい加減に見えてしまうという意味。

見えないところ、つまり足元が信用のバロメーターになるのです。

もう1つは、汚れた靴で、先方の敷地に入ることへの無神経さを戒める意味です。

汚れや剥げ、踵のすり減りはないようにしておきましょう。

ネイルにも気を付けた方がいいでしょう。

私が講師として営業研修に登壇した際、このようなシーンがありました。

後ろから様子を見ていた営業部の責任者が、休憩に入ったとたん、ある受講者に声をかけられたのです。

「そのネイルで、銀行のお客様や、規律の厳しいメーカーや小売業のお客様に伺うと心象としてよくないと感じるけど、どう思う?」と。

確かに、ちょっと派手なネイルでした。

自分の趣味ではなく、先方に合わせるのが営業では肝心です。