ネットでゲームをすることが当たり前になった時代、一緒にプレーするならオンラインでいいのではとも思わされる。だが辻本氏は「直接会った人同士でプレーすること」にこだわった。

「デジタルなコミュニケーションはすでに世の中に氾濫している。それなら、逆にアナログなコミュニケーションを追求してやろうと思ったんです。一緒にゲームをするには、『やりましょう』とか『いまどんな感じですか』とか、実際に言葉が必要になってくる。アナログなコミュニケーションをとることで、より盛り上がると考えたんです。イベントは、ただゲームをするだけでなく、屋台を出したり、巨大モンスターの展示をしたり、初心者やゲームを知らない人でも楽しめるものにしました。イメージは、モンハンを題材にしたテーマパーク。ゲームマニアだけでなく、いろんな人を巻き込めるよう敷居を下げたといってもいいですね」

ツイッターなどデジタルなマーケティングにはそれほど注力しなかったという。

「誰でもやれる、ターゲットを決めない、というゲームのコンセプトに反すると思ったからです。3年ほど前はツイッターも今ほど普及しておらず、慣れていない人が離れてしまうことを避けたかった」

そこからモンハンを広めるための企画がどんどん生まれていく。たとえばゲーム中に登場しイベント会場にも置かれる、モンスターやマスコットキャラクターのぬいぐるみのグッズ。これは女性ファンを取り込むことが目的で、「ゲームを知らない人でも可愛いと思ってもらえるよう」(辻本氏)にデザインにこだわった。

さらにカラオケチェーンのシダックスと連携し、カラオケルームで複数人がゲームをプレーできる「モンハンパック」などのイベントを開催。食事のセットなども用意し、2カ月の期間中に3万人以上が利用、1億円超を売り上げた。カジュアル衣料販売のユニクロとも提携して、ゲームのキャラクターがプリントされたTシャツを売り出した。好評を博し、11年7月には第2弾が発売された。