特にネット上では、自社発信の情報の少なさを補うかのように、ブログやSNSで情報交換が行われている。 国内大手SNS「ミクシィ」のコミュニティには5万人以上が参加していて、やり取りは非常に活発かつ具体的だ。たとえばコストコが仕入れに強みをもつ輸入食品は、日本の消費者にとって馴染みが薄く、敬遠されがちな商品だ。だがこうしたコミュニティで情報が出回ることで、購入のハードルが下がる。消費者同士のクチコミが、外資参入を阻んでいた「食習慣」の壁をも崩しつつある。
「買い物日記」を記したブログの多くは、まるで海外旅行の土産話のように、コストコでの興奮を伝えている。それだけ新鮮な体験ができる場所なのだ。
実は、4000品目の約6割は日本メーカーから仕入れた商品だという。店内を歩いた印象よりも高い比率に感じる。それはサイズや包装が通常と異なることに加えて、珍しい輸入品や独特な陳列のインパクトが強烈だからだろう。
小分けがない不便さを補うため、客のなかには、駐車場ですぐにパッケージを開けて、友人同士で分け合う人もいる。「シェア買い」と呼ばれている現象だ。
「駐車場でシェアするとは予想外でしたが、どんなスタイルでも歓迎です。良いものが安く、そして楽しい、と感じてもらえればいい」(テリオ社長)
取材時、高齢者の姿も目についた。ある男性は、カートからはみ出すほど大きなクマのぬいぐるみと43センチ四方の冷蔵ピザを買っていた。消費スタイルは確実に変わりつつある。