悩みの“突破口”が見えてくる

いい本をたくさん読む――そこには「賢人の知恵」が詰まっている

仕事で困った問題が生じて悩ましいとき、とても本を読む余裕はないかもしれません。しかし頭を抱えていれば、問題は解決しますか?

しませんよね。解決の糸口をつかみ、行動を起こさなければ、事態は滞るだけでしょう。そういうときは気分転換も兼ねて、本を読むことをおすすめします。

人類の歴史が積み重なったいま、本当にたくさんの本が手軽に読めます。三千年も前の賢人の知恵が詰まった古典から、過酷な状況を生き延びた人たちのドキュメンタリー、社会に大きな利益をもたらした偉人たちのサクセス・ストーリー、最先端の科学や技術をわかりやすく解説した書、さまざまな時代の社会を映し出す小説……。

自分ひとりの人生では経験しえない、ありとあらゆることを本は教えてくれます。

仕事で困ったときも、一冊の本が突破口を開くヒントを与えてくれる、なんてことはよくあります。

加えて日ごろから、好奇心の向くままに多くの本を読んでいれば、知らず知らずのうちに豊富な知識・情報が身につきます。悩みを解決するための武器を持つことができるのです。

本を読む中年ビジネスマン
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禅僧が実践する「二割増し仕事術」の効果

忙しいときこそ「規則正しく」――「余計なこと」を考えない極意

私は住職を務める傍ら、庭園のデザインや講演、本の執筆など、いろいろな仕事をしています。コロナ禍が一段落してからは、また海外に行くケースも増えました。そのせいか、いろんな方から「忙しいですね」と声をかけていただきます。

ただ自分自身はさほど追い詰められている感じはしません。なぜなのか。理由はおもに二つあります。一つは、仏教流にいうと、「生活にたがをはめている」からです。

朝の起床から、坐禅、読経、掃除、食事などのお寺の作務はもとより、ほかの仕事もすべて、何時に何をするかを決めているのです。おかげで余計なことを考える必要がなく、時間がきたらやるべきことをきちんとやるのみ。忙しさはありません。

もう一つは、「自分の能力の二割増しくらいで仕事を請け負う」ようにしていること。三割になると負担が大きすぎますが、二割くらいだと、「よし、やってやるぞ」という心意気がわき出てくるのです。結果的に、忙しさも感じずにすみます。

みなさんも忙しさに押しつぶされそうになったら、規則正しい生活を心がけ、“二割増し仕事術”を試してみてください。多忙による行き詰まり感から解放されます。