できる人は“的”を外さない

「単純明快」に考える――“シンプル思考”で事に当たる

話の上手な人は、どんなに複雑な事柄でも、実にわかりやすくシンプルに伝えます。逆に話の下手な人は、単純な事柄にあれこれ余計な情報を加えて、話をどんどん複雑にする傾向があります。何がいいたいのか、相手に伝わらないのです。

同じことが仕事全般に当てはまります。どんなに複雑そうに見える仕事にも、必ず「ここを押さえればOK」というポイントがあります。そこを中心に全体を俯瞰すると、自分は何をやるべきかが見えてきます。

その際、損得勘定はしないのが鉄則です。得することをやろう、損することは避けようなどと考え始めると、頭がこんがらがって、どうしたらいいかがわからなくなってしまうからです。

とりわけリーダーの立場にある人は、“シンプル思考”が求められます。常にやるべき仕事のポイントと、自分たちが進む方向性をしっかり指し示し、導いていかなくてはいけません。そうして部下に大きな失敗をさせないことが、リーダーの大切な役割なのです。

理想は「切磋琢磨の関係」

「野心」を封印する――「敵」をつくると、しっぺ返しを食らう

大志を抱くことに否やはありませんが、「野心」と聞くと、私はちょっとイヤな感じがします。言葉の由来をひもとくと、「山犬や狼の子は人に飼われても馴れることはなく、飼い主を害しようとする荒々しい心を持つ」ことを表わすそうです。

そのせいか、野心に燃える人は自分が出世したり、大金を得たりするためには手段を選ばないところがある、という印象を受けてしまうのです。

たとえば人を蹴落としてでも出世するとか、自分の利益のためなら人が傷ついても意に介さないというふうに。それでは好んで「敵」をつくるようなものです。

大きな足に蹴られるビジネスマン
写真=iStock.com/andriano_cz
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だとしたら、野心は封印したほうがいい。自分本位に行動して人を傷つければ、「悪因悪果」。すぐに、自分自身も傷つけられます。“嫌われ者”になり、信用を失い、孤立無援になるのは目に見えています。

それよりも「志を高く持つ」ことを意識し、同じ志を持つ人と、切磋琢磨の関係を構築するのがいい。互いに励まし合って実力を、ひいては人間性を磨き上げるのです。野心などなくとも、志があれば、仲間とともにすばらしい仕事を成し遂げられます。