やってはいけない「フレーズ丸暗記」勉強法

英語は数学や社会のようなお勉強科目と認知されていますが、私はそうではないと思っています。体育と同じ、実技科目です。体育も競技によってルールがありますし、実技なくして成立しませんが、英語もまさにそうなのです。

ただし、「英語はトレーニング!」「とにかく実践あるのみ」「アウトプットしなきゃ!」と思い立った後、多くの方が犯してしまうある間違いがあります。

それは、フレーズをそのまま丸暗記することです。

何を隠そう私自身がフレーズ丸暗記ばかりして、英語習得に挫折した一人。大学時代、アメリカ人の先生の話を聞いて意見を言う英語の授業は、まさに私にとって過酷なトレーニングでした。先生の言ってることが全然分からない。そして自分が言いたいことも言えない。何の授業が行われているのか、怒られても何で怒られているのかさえさっぱりわからない、そんな悲惨な状況でした。

周りの同級生がペラペラと話しているのを聞き、「とにかく自分も英会話のフレーズを覚えなければ!」と意気込み、書店でフレーズ集を購入。付属のCDを聞いて、英語のフレーズを最初のページから丸暗記。

でもその努力の甲斐も空しく、何度本を読んでフレーズを覚えようとしても覚えられず、フレーズ丸暗記法は失敗に終わったのです。

Can I bring this on the plane? が記憶に残らない理由

フレーズを丸暗記しても、英語は話せるようになりません。丸暗記が効果的ではない理由は2つあります。

1つは、人はイメージできることや必要だと思うことでなければ記憶に残りにくいこと。

例えば、「これ、機内に持ち込めますか?」というフレーズ。英語ではCan I bring this on the plane? と表現できますが、これって当面海外に行く予定がない方にとっては、日常で使わないフレーズで、必要性も感じられないですよね。そうなると覚えても使わないので忘れてしまいますし、そもそも必要と脳が判断しなければ記憶にさえ残らないのです。

国際空港の航空会社のチェックインデスクで搭乗券とパスポートを持っているアフリカ系アメリカ人男性
写真=iStock.com/wundervisuals
※写真はイメージです

実際に、遠藤雅義先生の『英会話イメージリンク習得法』(英会話エクスプレス出版)に、英会話を習得していく過程は「自分が使える英文を蓄積していく過程であり、その英文は自分の中でイメージすることができるもの」だと書かれていますが、まさに自分が使う場面がイメージできる英文を増やしていくことをしないと、英語を習得しているとはいえないのです。

丸暗記では応用が効かせられない

フレーズ暗記が効果的でないもう1つの理由は、応用が効かないこと。

例えば、先ほどのCan I bring this on the plane?

この表現を、「持ち込む=その場所に運ぶ」というイメージで言い換えることができていたら、

「これ、車に持っていってもいい?」と言いたい時にも

Can I bring this on the car?

とすぐに使い回すことができます。

ただ、機内に持ち込める=bring this on the planeと機械的に丸暗記してしまったら、その言い換えもすぐにできないでしょう。

では、フレーズを覚えるのが効果的ではないとなったら、一体どんな方法でトレーニングをすればいいのか。実は最強のトレーニング方法は……「独り言」です。