あれこれ詮索せず、話し手の心の動きについていく

「とにかく話をさせよう」と考えている聴き手は、根ほり葉ほりの質問をしてしまいます。

しかし、話し手がその根ほり葉ほりの質問に答えてしゃべったところで、本来の心の自己治癒力が動き出すわけではありません。

それどころか、自分のペースを尊重し守ってもらえないため、聴き手との関係が安全なものではなくなり、心がさらに固くなりかねません。

ですから知りたいことを詮索するのではなく、なるべく話し手が話したいことについていくような対話に努めましょう。

聴き手が無理に話をさせようとしたり、あれこれ詮索したりすると、傾聴の援助的な対話にはなりません。

傾聴とは、あくまで話し手が表現する考えや感情をなるべく共感的に理解し、その理解を言葉で返すことによって、話し手の心の動きについていくことなのです。

「なぜ」「どうして」ではなく「何が」「どう」と尋ねられるか

パーティーなどで楽しく話すときには、上手に質問することで「私はあなたの話に興味があります。もっと聴きたいです」というメッセージが伝わります。

その場合は、相手が話していることについてもっと教えてもらうための質問と、相手の興味あることや好きなことについて尋ねる質問をしましょう。

カフェで話す二人の日本人女性
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです
《上手な質問例1》

【聴き手】○○さんはお休みの日は何をして過ごされることが多いのですか?

《上手な質問例2》

【聴き手】シュノーケリングがお好きなんですね! シュノーケリングの楽しいところって何ですか?

しかし、悩み相談など話し手にとって深刻な話題のときは、質問を減らし、話し手が話す内容を繰り返すような応答をしましょう。なぜなら、辛い内容の場合は話をするなかでも傷つきを感じやすいので、詮索されることなく自分のペースで話す必要があるからです。

また、「なぜ」「どうして」という質問は、話し手を批判しているように聞こえがちです。ですから、代わりに「何が」「どう」「どんなふうに」と尋ねることができるのなら、そのほうが安全です。