まじめな日本人はなぜわがままが言えないのか

日本人はなぜ、自分の意見を言わずに他人の意見に合わせたり、顔色をうかがったりしてしまうのでしょうか。一言で言えば、「それが正しい」と経験的に感じているからです。社会人であれば会社の価値観を優先する、主婦であればママ友などのコミュニティの価値観に合わせることが正しいと思い、そうしているのです。

一方でそれが大きな負担になっていることも事実です。本音では「自分の意見を言いたい」「自分はこうしたい」と思っている人が多いのです。にもかかわらず、その気持ちを抑圧しているために、ストレスが生じています。

日本人が「個人より集団を優先する」のは、子どものころの経験が影響しています。子どものころから自己主張をして褒められた記憶があまりないのです。自分の感じたことを言って親に否定された経験や友達に無視された経験がネガティブな印象として記憶に残っています。これは脳の仕組みも関係しています。なかには高圧的な父親や毒母に育てられたことから、自分の感情を表に出せなくなってしまった人もいます。しかし、多くの人は否定されたことがあれば、肯定されたこともあったはずです。ただ、それが正しく認識されていません。たとえば、5回肯定されて5回否定された場合、人間の脳は7〜8回は否定され、肯定されたのは2〜3回だけだったと感じてしまいます。これを心理学的に認知バイアスといいます。悪い出来事のほうが記憶に残りやすいのです。