プライベートな質問は相手との距離感を縮めてから
質問にも距離感が存在します。家族や親しい友人なら家に招き、プライベートスペースで一緒に過ごします。
しかし、たとえば荷物の配達員の方とは、玄関というパブリックスペースでやりとりをして終わりますよね。
同様に、心の中にもパブリックとプライベートなスペースが存在します。
初対面の場合や親しくない人には、「それ、お高いんでしょう?」「お子さんは?」などと立ち入った質問をするのではなく「雨が降りそうですね。お帰りは大丈夫ですか?」といった天気の話など、パブリックな質問からスタートしたほうが、失礼になることはありません。
まずは、相手が話題にしたことや興味のあることについて質問しましょう。プライベートな質問へと移行するのは、相手との心理的な距離が縮んでからにするのがポイントです。
その質問は「相手がしてほしい質問」か
質問で相手を不快にしてしまう人はどんな人でしょうか?
それは、自分がしたい質問をしている人です。質問するべきは、相手がしてほしい質問です。コーチングの世界では、「自分ではなく、相手が話したいことを話す」のが基本です。それが質問の質を上げるための第一歩です。
相手の気持ちを掴みたい、信用されたいと思ったら、図表1の①自分も相手も興味がある内容の質問をすれば、両者とも楽しく会話ができます。趣味や仕事で共通の悩みや関心がある相手なら、話題も選びやすいはずです。
次に有効なのが、②自分は興味がなく、相手が興味のある質問です。人が一番話したいのは自分のことなので、相手が興味のあることを話したほうが好感を持ってもらえます。
たとえば、以前相手が「最近ゴルフを始めて……」と話していたのなら、「最近、ゴルフはされてますか?」と質問してみる。
また、相手が仕事で忙しい人なら、「お仕事お忙しそうですが、お疲れではないですか?」と労う。
初対面の人なら、相手の話に「北海道ご出身なんですか? では、寒さには強い方ですか?」などとフォロー質問をしていくのがおすすめです。
③相手は興味がないが、どうしても自分が話したい話題は「ちょっとお聞きしたいことがありまして……」と切り出して話す。
④相手も自分も興味がさほどない「今日はいいお天気ですね」などは、会話のきっかけとして儀礼的に使うのはOK。ただし、必要以上に長く話さないのがポイントです。
自分がベラベラと話すより、相手に質問をするほうがよっぽど好感を持たれます。どんな質問をするにしても、「相手は何に関心があるのか?」と普段から心の矢印を相手に向けることが大切です。