日頃からお金持ちに会う機会が多い
芸人の世界に入った若い頃は、「億万長者になりたい」という夢が漠然とありました。ただ、その具体的な方法などはわからず、芸人として目の前の仕事を一生懸命やっていただけでした。ただ、この世界にいる怖さなのですが、日頃のおつき合いを通じてお金持ちに会う機会が多いのです。
僕は、比較的そうした社長さんの飲み会には顔を出さないほうでしたが、ロケで知りあったきちんとした企業の社長さんなどと仲よしになります。僕は社長さんをタニマチにして飲み歩くのではなく、純粋に興味を持って接していました。
社長さんの周りには、やはり社長さんがいらっしゃるので、いつの間にかそうしたネットワークの中に自分がいるのに気づきます。すごいお金持ちや、成功者の中に身を置いていると、自分の感覚も麻痺してきます。
「俺もそうなりたい」
気がついたら、そちらへベクトルが向いていました。
じゃあ、どうすればいいか? というところで投資という方向にしか目が向かなくなっていたのです。
超一流の芸能人でも「将来のお金の不安」を抱えている
じつは、さらにそれを加速させる出会いがありました。
縁があって、日本中の誰もが知るトップ芸能人の方とサシ飲みする機会をいただいたのです。
びっくりしたことに、その方が「将来のお金の不安」について話しはじめました。たくさん稼いでいらっしゃる方ですから、お金の心配など必要ないと思っていたので、なおさらでした。聞けば、その方はめっちゃ投資されているのでした。僕がのちに手を出す、暗号通貨やFXなどではなく、手堅い投資です。
僕は不思議に思いながら、
「それはおもしろいからやってらっしゃるんですか?」
と尋ねると、
「いや、違う」
と断言されるんです。
そしてこんなふうに続けられました。
「冷静に考えてごらんなさい。どんなに一生懸命に仕事をやってきても、あした死んだら収入がゼロになってしまう仕事なんだよ」
身体中に「ビリビリッ」と音を立てて電気が走りました。
僕の立場からいわせてもらえば、なんの不安もなく、バリバリと仕事をしている超一流の芸能人ですら、きちんと投資に向き合っている。それも、「死んだらゼロ」という不安を抱えながら。