60歳貯蓄ゼロからの新NISA戦略

では実際に、60歳時点で貯蓄がゼロだった場合に、どうやって老後資金を確保すればいいのか、「60歳貯蓄ゼロの新NISA戦略」を紹介しましょう。

60歳以降の新NISA戦略としては、運用して増やす「前半戦」と取り崩して使う「後半戦」に分かれます。

定年時点でまとまった退職金を受け取った場合は、その資金を新NISAで運用するのがいいでしょう。とはいえ、退職金の額は人によって大きく異なりますので、ここでは退職一時金ゼロで考えてみます。

通帳を確認する高齢者
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新NISAの取り崩しのタイミングはいつがベストか

定年時点で貯蓄がゼロの場合、まず考えるべきは働くことです。できるだけ長く働くことがもっとも現実的かつ有効です。会社員の8割は再雇用で働いていますし、事業者には70歳まで就業機会を与えることが努力義務化されていますので、65歳以降も仕事を続けられる環境は整いつつあるはずです。

70歳まで働くことを前提にすれば、収支がプラスになり、60歳以降も貯蓄が可能になるはずです。その資金を新NISAで運用するのは、いい方法です。

問題は、新NISAでいつまで運用するか、いつから取り崩すかです。そのタイミングはズバリ! 「収支のバランス」が崩れたとき。つまり収入よりも支出が多くなったときに取り崩しを開始します。

収入が年金だけになったとき、赤字分を補てんするために、老後資金があるのです。赤字分だけを取り崩して使うのがいいでしょう。ただし、新NISAで運用している資金は、赤字分だけを取り崩しながら、残りは運用を続けます。それによって、老後資金を長持ちさせることが可能です。

その際の取り崩し方法には「定率」と「定額」があります。

「定率」とは、資産の何%というように、決まった率で取り崩しをします。「定額」は決まった金額を取り崩します。

「定率」は徐々に使える金額が減っていきますが、資産を長持ちさせることができます。楽天証券などでは、運用している資金を定率で引き出しが可能なサービスもあります。「定額」は「定率」と比べて資産寿命は短くなりますが、同じ金額を引き出すのでマネープランが立てやすくなります。