キャッシュレス対応の遅れも一因
インターネット予約サービスの対応やキャッシュレス化が遅れていることも、スタッフのリソースを無為に消費する一因となっている。人員もリソースも足りていなければ、異なる言語や文化の訪日外国人に対応する余力がないのは明らかだ。
ただでさえ日本人はあまり英語が得意ではないだけに、接客できる外国語を覚えたり、外国語のメニューを用意したりするのはコストを要する。あるいは、訪日外国人にはお通しについての説明が必須だが、スタッフへの教育が足りなかったりスタッフに余裕がなかったりするせいでおざなりの提供になってしまい、トラブルに発展していることが多い。
ちなみに、ファインダイニングであれば“おまかせ”コースかつ“一斉スタート”が普通なので、こういった問題が生じることはほとんどない。
店頭に店のコンセプトを張り出しておく
飲食店が訪日外国人とトラブルを起こさないようにするには、どうすればよいか。
筆頭に挙げられるのが、インターネット予約サービスを有効に活用することだ。「TableCheck」や「トレタ」、「OMAKASE」「食べログ」など、英語をはじめとして多言語に対応しているところは多い。そこでコンセプトを説明したりメニューを記載したり、キャンセルポリシーを明示しておけば、すれ違いはだいぶ少なくなる。
ノーショーやドタキャンが発生した場合にも、クレジットカードが登録されていたりデポジットをとっていたり、予約者の情報がわかったりするので安心だ。
ウォークインの客に対しては、やはり、できるだけ早く情報を伝えることが重要となる。入店してからでは遅い。最低でも店頭に店のコンセプトや訪日外国人への応対などを掲示しておくのがいい。日本語メニューしかないことや英語ではコミニュケーションできないこと、ベジタリアンやヴィーガンおよびハラルに対応できないことを、できるだけ早く知らせるべきだ。
また、英語メニューに対応できないのであれば、写真を掲載しておいたほうがいい。すべてではなく、定番のメニューだけでもいい。写真メニューを用意しておけば“指差し注文”が可能になる。「思ったものと違う」といったことが少なくなるので満足度が高まり、クレームも減る。