具体的な施策を見ると「前向きの戦略」だとわかる
昨年3月、セブン&アイはスーパー事業の構造改革と成長戦略を発表した。
2022年度までに完遂した構造改革は以下になる。
○人員政策:約1700名の最適化
○生産性改革:AI発注などIT活用の生産性改善を導入
成長戦略のほうは以下だ。
②首都圏へのフォーカス加速と追加閉鎖
③首都圏事業の統合再編
④戦略投資、インフラの整備
⑤完全実行の担保透明性あるモニタリング
一見すると、成長戦略のほうもリストラの印象が強い。しかし具体的な施策を見ると、前向きの戦略だとわかってくる。
①アパレル事業の完全撤退
グループ戦略の軸となる「食」にフォーカスする一方、水面下では、アダストリアと提携し、共同で「FOUND GOOD」というライフスタイルブランド立ち上げを準備
②首都圏へのフォーカス加速と追加閉鎖
ヨーカ堂は、注力する首都圏へのフォーカスを加速
首都圏でも採算性・戦略適合度の低い店舗は戦略的撤退
③首都圏事業の統合再編
注力する首都圏におけるシナジーおよび運営効果の最大化
④戦略投資、インフラの整備
プロセスセンター(PC)、セントラルキッチン(CK)およびネットスーパーセンターの活用により、さらなる利益成長可能な収益構造の実現
⑤完全実行の担保と透明性あるモニタリング
外部変革エキスパートの起用による変革施策の完全実行と工程管理
取締役会および戦略委員会によるモニタリングと株主への透明性を持った共有
これらの施策を通して、2025年度に首都圏だけでスーパー事業のEBITDA550億円、ROICで4%以上という数値目標を明示している。
キーワードは「専門性とブランディング」
ヨーカ堂の再生を考えるうえで、第一のキーワードは“専門性とブランディング”だ。
ヨーカ堂のような総合スーパーは、食品、衣料、雑貨など多様な商品が置いてあることが特徴の1つとなっている。しかし現在の小売業は“総花的な品揃え”はむしろ利益をあげにくくなっている。各カテゴリーで専門性とブランディングを打ち出していかないと、「カテゴリーキラー」と呼ばれる専門ショップと勝負できないからだ。
昨年3月に発表した成長戦略では、初めに「アパレル事業の完全撤退」を挙げている。
衣料品については、「GLOBAL WORK」「niko and…」などのブランドを手がけるアダストリアと提携し、共同で「FOUND GOOD」というライフスタイルブランドを立ち上げた。商品の企画から生産までをアダストリアが担当し、ヨーカ堂が販売するという形態だ。