大谷選手が巻き込まれたスキャンダル
ドジャースの大谷翔平選手が日本時間の3月26日に会見を開いて、専属通訳を務めていた水原一平氏が解雇された件について説明した。当日の朝、生中継で見た人も多いだろう。
水原氏は違法のスポーツ賭博に関与した疑いで、米国土安全保障捜査局(HSI)や内国歳入庁(IRS)の捜査対象になっている。大谷選手の銀行口座から合計約450万ドル(約6億8000万円)がブックメーカー(賭け業者)に送金されたことから、大谷選手が関与していたのではないかという疑いも一部に持たれていた。水原氏が「大谷選手に肩代わりしてもらった」と語っていたからだ。
大谷選手は約11分間の会見で、自分が賭博に関与していないこと、ブックメーカーへの送金は水原氏による窃盗であることを明言した。大谷ファンだけでなく多くの日本人が、彼の身が潔白だと確認できて安堵したと思う。
多額の金を盗み取られ、スキャンダルに巻き込まれた大谷選手は気の毒だ。信頼していた仕事仲間がギャンブル依存症になったうえ、自分の口座から多額のお金が無断で送金されたのだからショックは相当なものだろう。
日本とは違う「海外メディアの意外な視点」
今回の事件で注目されたポイントに「スポーツ賭博」と「ギャンブル依存症」がある。メジャーリーグで働く水原氏が、違法なスポーツ賭博に手を出した意味は大きい。水原氏は野球を除く、サッカー、バスケットボール(NBA)、アメリカンフットボール(NFL)、大学フットボールなどに賭けていたと報じられている。
海外メディアでは、今回の事件にからめて、アメリカのスポーツ賭博やギャンブル依存症に関する記事が目立った。日本では「大谷選手は大丈夫か」と心配する報道が多いのに対して、海外メディアはスポーツ賭博やギャンブル依存症が引き起こした事件の1つと位置づけているように見える。
例えばアメリカの政治メディア「POLITICO」は3月21日、大谷選手の事件を取り上げて、「ピート・ローズ以来、野球界最大のギャンブルスキャンダル」と評した。MLB最多の通算4256安打で“球界のレジェンド”と呼ばれたピート・ローズ氏が、監督時代の1989年に野球賭博でMLBを永久追放になった事件を引き合いに出したのだ。