「私の人生をめちゃくちゃにする気⁉」
小倉さんが中学3年生になったある夏の日。突然母親(37歳)から、「再婚するから北海道に移住したい」と言われる。そのとき交際していた男性が仕事の関係で北海道に転勤になり、それについて行きたいと言うのだ。
受験を控え、地元の進学校を目指していた小倉さんは、「私はお祖母ちゃんの家に残りたい」と言った。すると母親は烈火のごとく怒り出し、「私の人生をめちゃくちゃにする気?」と怒鳴られる。
「自分はそんなことを言うくせに、娘の人生はこれっぽっちも考えてないんだ……」と大きなショックを受けた小倉さんだが、まだ中学生では従うしかなく、母親が指定した北海道の高校を受験させられ、4月からその高校に通い始めた。
「交際相手がコロコロ変わり、『母に裏切られ続けている』という思いが積み上がっていたときだったので、この一件で『もうこの人のことは母親ではなく、お金を出してくれるだけのパトロンだと思おう』と割り切ろうとしました」
結局、母親と養父は、任期の2年が過ぎると、「寒いから帰ろう」と言って妹だけ連れて中国・四国地方に帰ってしまう。当時高校3年生だった小倉さんは、そのまま一人で北海道に残り、一人暮らしをしながら高校に通った。
しかし、その後も母親は小倉さんの人生をコントロールし続ける。
「実家のある中国・四国地方の国立○○大学の看護科じゃないと許さない。奨学金も許可しない。すべり止めで他の大学を受けることも許さない」と言い、高校受験以降、すべてを諦めていた小倉さんは言われた通りの大学を受験。
「看護師免許さえ取れば何をしてもいいと言われたので、仕方なく受験しました。せめてもの反発で、大学センター試験の3カ月前まで勉強せず、塾にも予備校にも学校の講習会にも行きませんでしたが、たまたま運よく現役合格してしまいました」
不穏な結婚
一足先に中国・四国地方に戻っていた小倉家は、賃貸アパート暮らしをしていた。
母親が指定した中国・四国地方の国立大学の看護科に合格し、遅れて戻ってきた小倉さんに母親は、「あんたの部屋はないよ。もう一人暮らしできるでしょ?」と言われ、小倉さんは結局大学の近くで一人暮らしをすることに。
その後母親と養父はマンションを購入したが、そこにも小倉さんの部屋はなく、「もう帰ってこなくていいから」と言われた。
小倉さんは、1歳年上の同級生の男性と、3年のときに交際を始める。
やがて、卒業試験に落ちて留年した彼より先に大学を卒業し、社会人になった小倉さんは、まだ学生の彼とのデート費用を全部負担するようになっていた。その度に彼は「出世払いするから!」と冗談めかして言い、小倉さんも「今の時代、男だけが奢るべきとも思わない」と気に留めていなかった。
翌年、卒試に受かった彼は遠方に就職が決まり、遠距離恋愛に。結婚を視野に入れていた小倉さんと彼は、「お互い貯金して、結婚式費用や新居関連費用を折半しよう!」と話していた。
ところが約2年後、いざ結婚しようという段になり、小倉さんが彼の貯金額を聞き出すと、
・車のローンが600万円
・奨学金の残額が400万円強
・貯金が20万円
ということが判明。
「彼はこの2年間、年収800万円、手取りでも500万円以上あったはずでした。なのに車のローンと奨学金の返済でマイナスに陥っていることに愕然としました」
小倉さんが婚約破棄を切り出すと、彼は泣き落としにかかった。困っていると小倉さんの母親が、「これから返してもらえばいいじゃない」と説得してくる。
そのため小倉さんは、結婚式費用や新居費用など、すべてを自分の貯金から出して結婚。彼には結婚後の給料から、半分返してもらうことを約束。ただ、彼のおおらかさに惹かれていたものの、金銭管理のずさんさや金銭感覚のズレに不安を抱いた小倉さんは、結婚後の家計管理は自分が務め、お小遣い制とすることで彼と合意した。