「権利と義務」を教えられてきた

プロ野球選手としてやらなきゃいけないことをやる。だからこそ、自分にしかできないプレーをする権利が出てくる。(『大谷翔平 野球翔年Ⅰ 日本編2013-2018』文藝春秋)

大谷翔平は花巻東高校で佐々木洋監督からさまざまな影響を受け、その教えをプロになってからも大切にしています。

佐々木が部員たちに教えている言葉の一つに「権利と義務」があります。

バッターは、ボールを打つと一塁まで走る「権利」を手にするが、同時に全力で走る「義務」も負うことになる――。

これが佐々木の教えでした。

同校の野球部には、大谷が在籍していた当時、100人超の選手が所属していました。甲子園でベンチに入れるのはスタメン9人を含む18人、それ以外の選手はスタンドで応援します。

スタンドで両腕を上げて応援するファン
写真=iStock.com/adamkaz
それ以外の選手はスタンドで応援(※写真はイメージです)

「ファンに支えられている」意識を持つべき

バッターに権利と義務が生まれる理由は、ベンチに入れない選手に対して、バッターが全力で走ることによって初めてその思いを伝えられるからです。

大谷は「プロ野球選手としてもそこは大事」と考えています。

プロである以上、試合中はもちろん、練習や普段の生活でも、たくさんのファンに支えられている(見られている)という意識を持ち、やるべきことを全力でやる義務がある。

そして、その義務を果たすからこそ「自分にしかできないプレーをする権利」が生まれる。それが大谷の考え方なのです。