強い衝撃を与えた「初球先頭打者ホームラン」
高校の頃から言われてきたのは、期待は応えるものじゃなくて〝超えるものだ〟ということ。監督が考える、そのもう1つ上を行けたらいいんじゃないかな。(『大谷翔平 野球翔年Ⅰ 日本編2013-2018』文藝春秋)
日本ハム時代の大谷翔平は、監督の栗山英樹が「この試合に懸けている」と察して、監督の想像よりさらに上の結果を出すことが多かった選手です。
2016年7月、優勝を争うソフトバンクとの3連戦で栗山監督は大谷を「1番・ピッチャー」で起用します。
相手投手へのプレッシャーを考えた判断でしたが、大谷はプレイボールからわずか5秒後にホームランを放ちます。
プロ野球史上初となるピッチャーによる初球先頭打者ホームランですが、それは栗山監督を含め、誰もが想像しなかったものであり、すべての観客に強い衝撃を与えました。
この戦いを経て、シーズン後半を迎えた日本ハムは、勢いを維持したままリーグを制覇し、日本一を手にすることになったのです。
「期待は応えるものじゃなくて超えるもの」
花巻東高校時代から、大谷は監督の佐々木洋から言われた「期待は応えるものじゃなくて超えるもの」という教えを大切にしてきました。
もちろん実力を備えているからこそできることですが、「スターはみんなの期待に応える存在。スーパースターの条件はその期待を超えること」という長嶋茂雄の言葉通り、大谷にはスーパースターの条件が備わっているのです。