今期、大手ゼネコン4社がいずれも増収増益を見込んでいる。好調の要因は主に3つある。

1つは復興需要だ。政府は2015年度までの5年間で19兆円を復興関連の公共事業に投資する予定だが、そのうち約半分ががれき処理や除染を含む建設投資である。進捗は予定より遅れており、受注のピークは13年度、工事のピークは14年度になると考える。

2つ目が復興に関連しない土木工事の増加である。復興需要よりむしろ、こちらのほうが利益への貢献度が高い。リーマンショック後、民主党政権は公共事業の削減を続けてきたが、ようやく回復基調に入った。首都高速の大規模補修や整備新幹線の建設工事など、大型案件も進められている。

3つ目が民間建築の回復だ。老朽化した学校や病院の耐震工事が増えるなど、震災もきっかけになっている。

今期の決算では大成建設、大林組、清水建設が20%前後、鹿島は5%の営業増益を予想している。中期的に見た場合、各社の業績はどう推移するか。

最も堅調なのは大成建設だ。同社の特徴は建築利益率の高さにある。上流工程から参画できる再開発プロジェクトや同社が得意とする空港関連工事も、利益率を押し上げる一因となっている。

大林組も安定的な成長を見込めるだろう。同社は海外の建設工事で他社に先行する。現在、北米、タイなどでの事業が堅調だ。復興関連では、除染工事の受注が中心になると予想される。

鹿島は業績のボラティリティ(変動性)が高い。だが、中期的には4社のうち最も成長が期待できよう。同社は首都圏と東北地方を地盤とし、伝統的に土木工事に強い。昨年度の復興需要はがれき処理が中心だったが、大林組の受注額が約250億円、清水建設は約200億円だったのに対し、同社は約900億円を受注している。自民党政権になれば公共工事がさらに増加すると考えられ、利益貢献への期待が高まる。

厳しいのは清水建設だ。同社の建築利益率は、大手4社のなかで最も低水準。土木工事より民間建築を得意としているため、復興需要を取り込みにくいというマイナス点もある。被災地の病院の建て替えや首都圏の中規模ビルの耐震工事をいかに取り込めるかが、業績伸長の鍵となろう。

(構成=プレジデント編集部)
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