プロ雀士の本音が知れる

対局後に気になった打ち方をしたプロ雀士にLINEで編集長から直接依頼する。

「『あの局面であの牌をなんで切ったんですか? 書いてくれませんか』のように直球でお願いしています。『えっ、そのネタで?』とちょっと渋い返信が来るケースも当然ありますが、朝起きると原稿が届いているから、ありがたいですね。きつい依頼だと思うのですが頑張って書いてくれることにすごく感謝してます」

金本編集長とプロ雀士との信頼関係の深さがうかがえる。

書いてもらう中身は多岐にわたる。対局の振り返りだけでなく、成績不振なプロ雀士に「最近どう? なんか書いてよ」と頼むこともある。

共通するのは、本音で書いてもらうこと。「特に形式はありません。『文章はめちゃくちゃでもこっちでサポートはするから、今感じていることを包み隠さず書いて欲しい』とお願いしています」

プロ雀士たちが何を考えているか、何に突き動かされているか。本音が見えるからこそ、読者は読みたくなる。それが年間4000万円という売り上げにつながっているのは間違いない。

猿川真寿プロが書いたnoteの一部
猿川真寿プロが書いたnoteの一部。金本編集長の依頼に対し、猿川プロは「厄介な指令」と書く。とはいえ、猿川プロが自分の打った手をしっかりと説明しており、2人の信頼度の高さがうかがえる(近代麻雀noteより)

コンテンツの売り方はまだ試行錯誤

noteでのコンテンツ販売は現在「近代麻雀note」(月額980円)、「Mリーグ記事特化型note」(月額500円)、「麻雀マンガ特化型note」(月額500円)、の3つのマガジンを用意している。

当初はすべてのコンテンツを読める「近代麻雀note」だけだったが、Mリーグ関連コンテンツの人気もあり、コンテンツの出し方を試行錯誤して3つの形態で展開する。

月額契約とは別にコンテンツの単発売りも手がけるが、「こちらもまだ実験段階」。同じような内容でも、分量に応じて値付けを変えたり工夫を重ねる。

「単発売りのコンテンツの適正価格はまだわかりません。値付けを高くすると月額購入に流れるのか、あまり影響がないのか。また、紙とウェブで読者層がどこまで違うのか。そうした点はまだ見極められていません。」

現在は定期購読の大半が「近代麻雀note」で購読者数は1500人ほど。コンテンツの充実とともに単発売りでの販売も増えているという。

なりふり構わず、とにかく稼ぐ

「紙とネットを合わせれば『近代麻雀』の収益性は劇的に改善しましたが、紙の雑誌を継続するには今後もとにかく稼がないといけない。こういう話をすると『金本は守銭奴だ』、『金儲けばかり考えている』とSNSでたたかれるのですが、稼ぐことで雑誌だけじゃなく麻雀ファンが望んでいるコンテンツを出し続けられる。面白い記事はその後雑誌に掲載したり書籍化もしてます」と語る。

紙とデジタルにとらわれず麻雀ファンに喜ばれるコンテンツを純粋に追求し続ける。そのためには何でもする。それが金本編集長の信念だ。形式とメンツにこだわって身動きが取れない出版業界への痛烈なメッセージではないだろうか。

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