老後資金はいくら必要か

年金生活を送るなかで、公的年金だけで十分ということはまずありません。

総務省の「家計調査年報(2022年)」を見ると、65歳以上の単身無職世帯の家計収支は月々2万580円の赤字という結果です。年金額や支出の傾向などはまちまちですから、この結果があなたにもピッタリ当てはまるわけではありませんので、自分の場合はどれくらいの赤字で済みそうか、今後もずっと家計をチェックしていくことです。

【図表1】運用率別 毎月10万円を使う場合に必要な元金の目安

赤字は何で埋めるかというと、言うまでもなく、それまでに作った老後資金からです。

図表1は「毎月10万円を使う場合に必要な元金の目安」をまとめたもの。使いたい期間(受け取り期間)と、その間に見込める運用率のクロスした数字が、準備しておきたい資金の目安です。

10万円としていますが、5万円使えればいいとするのであれば半額、2万円なら5分の1の金額でOK。たとえば、「30年間2%で運用できるとして、毎月5万円を使いたい」という場合、2706万円の半分の1353万円が老後生活費として準備したい資金の目安となります。

2~3%の運用は不可能ではない

「低金利なのに2%、3%の運用ができるの?」と疑問を持つかもしれませんが、新NISAと安全な運用との組み合わせなら不可能ではありません。預金は相変わらず低金利とはいえ、4月に募集中の「個人向け国債(変動10)」の利率(税引き前)は0.50%と高め。これから金利が上昇するようなら、もう少し上がることも考えられます。

一方の、新NISAで利用したい投資信託は、運用により収益が決まるもの。短期的にはマイナスになる局面もありますが、長期的には預金金利を上回る成果が期待できます。

金融庁が作成した「高校向け金融経済教育指導教材(第4章応用編)」によると、「1989年以降、毎月同じ金額ずつ国内外の株式と債券に積立投資を行い、20年間保有した場合の年間収益率」が2~8%と出ています。過去のデータが今後の実績も保証するわけではありませんが、2~5%程度は期待してもよいと思います。

ひとくちに老後といっても、30年くらいの期間が想定されます。遠い先の老後のためには投資信託で運用して増やし、使うお金をいつでも使えるよう安全なものに移していくといった管理が望まれます。