働く時間を増やして収入アップを

年金分割や財産分与が期待できるとはいえ、離婚後の生計を立てていくためにも、自身の収入がなるべく多くあったほうがいいのは当然です。100年人生を見越して70歳まで働ける環境が整いつつある昨今、できるだけ長く働いて収入を得られる道を探っていきたいものです。

2016年10月から段階的に、パートやアルバイトなど短時間労働者に対する社会保険(健康保険・厚生年金)の適用が拡大されています。週の労働時間が20時間以上で月収8万8000円以上といった要件を満たす短時間労働者は、勤め先の規模により社会保険に加入することになりました(いわゆる「106万円の壁」)。すでに勤め先が対象となり、働く時間の調整に労苦している方もおられるのではないでしょうか。

今年の10月には、企業規模が現在の被保険者数101人以上から51人以上となり、さらに適用拡大されます。いままで払わずに済んだ社会保険料がかかることで、手取り収入が減るとネガティブにとらえられがちです。しかし、厚生年金保険料を払うということは、将来受け取る年金額を増やすことにつながります。生きているかぎり受け取れる公的年金は、民間の年金商品ではマネできないメリットがあるものです。

また、健康保険に加入することで、「傷病手当金」という病気・ケガで療養することになった場合の収入保障も得られます。年齢が上がると健康不安も増しますが、保障が手厚くなり安心して働き続けられるでしょう。

離婚するにしてもしないにしても、収入アップはそのまま老後の安心につながるわけですから、思い切って働く時間を増やすことを提案したいと思います。

収入アップと支出の見直しで資金を捻出

さて、いよいよ新NISAをどう活用して離婚に備えるかを解説していきたいと思います。といっても、資金作りの基本的な考え方は、離婚するしないにかかわらず同じです。「新NISAブームに踊らされると痛い目に遭う…『元本割れリスクを負わずに増やしたい』人にプロが勧める金融商品」と「新NISA『窓口で相談したいから銀行で』は危険すぎる…バブル崩壊を経験した専門家から投資初心者への助言」もあわせてお読みいただきたいですが、老後に備える資金作りにしぼってもう少し詳しくみていきましょう。

「老後資金準備を進めたいけど、現在の家計や目前のライフプランへの支出で手いっぱい」という方も、ムリのない金額で少しずつでもスタートすることです。その資金を捻出するためには、収入アップを目指すか、支出を減らすか、方法は二つしかありません。前述のように収入アップもオススメしたいですが、同時に支出の見直しをぜひ検討しましょう。

物価が上がってきたなか、日常の生活費の見直しには限界があるものの、極力ムダな買い物は避けましょう。そのためにも毎月の予算を決めておくことが大切です。決まった予算の範囲内で使うクセをつけておくことは、後々「おひとりさま老後」を迎えたときにも活きてきます。収入が公的年金だけになったとき、支出をうまくコントロールすることで、大きな赤字を出さずに済むからです。