プログラムの開発担当者である取締役の横井真人さんはこのように説明する。

2008年の新卒者を対象に始まった研修を受けた新人MRはこれまで約300人。まず4つの感情能力について、その偏差値などを測定するテストを行い、自分の特性を理解する。それから各能力を高めるプログラムへ進んでいく。

最初の読み取り力の開発では、ポール・エクマン博士の感情表出理論を活用する。この理論によると表情に出てくる基本的感情には「恐れ」「怒り」「悲しみ」「嫌悪」「軽蔑」「驚き」「喜び」という7つがあり、それぞれ原因が存在し、表情にも特徴のあることを学ぶ。たとえば驚きでは、眉毛が引き上げられ、両目は大きく見開き、黒目の上には白目が見える。そうした特徴的な表情のスライドを次々と見せて、どの基本感情なのかを当てるトレーニングも行われる。

次の理解力の開発では「イライラ→不機嫌→怒り」といったロバート・プルチック博士の感情の立体モデルの理論に基づきながら、感情の発生原因と感情が変化していく仕組みを学ぶ。そして、実際のMRの活動現場を想定したロールプレーを行い、相手の感情を読解したうえで、どのような行動を選択して、どう自分の気持ちを切り替えていくのかを体感する。

一連のプログラムを受ける前と受けた後で感情能力を測定すると、読み取り力が偏差値45以上~55未満の中位だったMRの42.4%が同55以上の高位へアップし、理解力についても中位だったMRの39.1%が高位へシフトしていた。「トレーニングを受けることで、能力が確実にアップすることが実証された」と横井さんはいう。