あの国会議員もこの番組出身
視聴者参加によるコンテスト企画もヒットした。有名なのは、「ダンス甲子園」こと「高校制服対抗ダンス甲子園」。LL BROTHERSのようなプロのダンサーが出ただけでなく、俳優・タレントから政治家になった山本太郎が競泳パンツに黄色い競泳帽姿で「メロリンキュー」のギャグとともに人気を博したのも有名な話だろう。
また、「幸せの黄色いハンカチ」(素人時代のおぎやはぎ・矢作兼が出演したことがある)「勇気を出して初めての告白」(こちらには俳優の稲森いずみが高校生時代に出演した)など恋愛をフィーチャーした胸キュン系の企画、「勉強して東大に入ろうね会」という受験チャレンジ企画など、若者を主役にした感動路線の企画も人気を呼んだ。
テリー伊藤のこれまでになかった演出
ほかにも、芸能人がターゲットになった「早朝バズーカ」(寝ている部屋に忍び込んでいきなりバズーカを発射する)のようなどっきり企画など、まだまだ話題になった企画は多い。
繰り返しになるが、まさに「企画の総合商社」。そこには現実をアトラクションやテーマパークに変えてしまうような圧倒的なパワーがあった。この番組でバラエティの才能が開花した大御所俳優・松方弘樹とビートたけしがデュエットした「I’ll Be Back Again…いつかは」がヒットしたのも、当時の番組の勢いを物語る。
総監督(総合演出)のテリー伊藤は、それまで放送コードぎりぎりの過激な番組をつくるディレクターとして業界で知られていたが、この番組で一気にメジャーになった。その後『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)や『浅草橋ヤング洋品店』(テレビ東京系)を手がけ、一時代を築く。
その演出術の基本は、バラエティ番組にドキュメンタリーの手法を持ち込み、人間の生々しいリアルな姿を浮き彫りにすることにあった。これもいまではバラエティの常道だが、その元祖と言ってもよい。
実際、テリー伊藤のもとでディレクターとしてこの番組に携った日本テレビ(当時)の土屋敏男は、その後『進め!電波少年』を企画・演出して大成功を収める。
1990年代から2000年代にかけて一世を風靡した「ドキュメントバラエティ」の流行は、この『天才・たけしの元気が出るテレビ‼』なしにはあり得なかった。その影響は、『水曜日のダウンタウン』(2014年放送開始)など現在にも及んでいる。