年収2000万円だけど生活はカツカツ

話を五十嵐さんのケースに戻しますと、彼の年収は2000万円ですが、税金や社会保険料を引いた後の手取りは1300万円ほど。月にならすと約110万円となり、ここから子ども4人分の養育費70万円を差し引くと、手残りは約40万円となります。

「シングルで月40万円あるなら十分じゃない?」と思いますよね。しかし、業界的に非常に付き合いが多く、連日、何らかの会食や飲み会、イベントに顔を出しては情報収集に努めているそうで、「飲食代だけでも月15万円が飛んでいく」と、五十嵐さんは話します。また、タクシー帰りも多いので、都心の一等地にある賃貸マンションを借りていることもあり、住居費は約16万円。

オフィスでパーティー
写真=iStock.com/AzmanL
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今の彼女との結婚も考えているそうですが、まったく貯金ができておらず、貯蓄を取り崩す状況の中、将来が不安になって私のもとに駆け込んできたのでした。

副業収入のお金を資産運用に回す

結論から申し上げると、まずは、飲食代などをなんとか月10万円に減らし、月40万円の中で生活できるようにライフスタイルや家計の見直しをしました。実は五十嵐さんには副業収入があり、それまで副業収入もほとんど使っていたのですが、副業収入は資産運用に回しながら、節税対策をしっかり行うことでお金を育てていくご提案をしました。聞き上手で仕事のできる五十嵐さんは、その能力を買われてコンサルティング業務を個人で請け負っており、その収入が月10万円ほどあったのです。

そんな高い能力をもつ一方、お金に対する勉強はいまいち。これまで医療費控除や生命保険料控除を申請したこともなく、「節税」という概念がまったくありませんでした。しかし、これは五十嵐さんに限ったことではなく、忙しい高給取りほど、内実は自転車操業のようになっていることは少なくありません。毎日、高級スーパーで惣菜を買うお金はあれど、将来の基盤となるような資産がないのです。

特に、大企業の会社員であれば、高待遇の金利で住宅ローンを組めるといった恩恵と毎月の安定的な収入によって、将来のお金に対する思考がストップしてしまうのかもしれません。そのため、副業の収入はiDeCoやNISAで資産運用をしながら、会社員でもできる節税を心がけてもらうことにしました。