クライアント向けに開示した「顧客データ」

2021年1月にWalmart Connectをスタートしたとき、ウォルマートは「オフラインとオンラインの顧客接点を活かして、5年以内に全米トップ10の広告プラットフォームになることを目指す」と発表した。競合としては、GAFAMなどのメガテック企業が想定される。

Amazon、Temu、eBay、Target、Walmart、Etsyのアプリアイコン
写真=iStock.com/Kenneth Cheung
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ウォルマートはアメリカ最大のリテーラーであり、同社のデータによると、アメリカ人の90%が23年に購入経験があり、リアルとデジタルで訪れる顧客数は1週間で1億5000万人にも及ぶ。これほど巨大なスケールとリーチを背景にしていることで、広告事業者としても強力となっている。

膨大な顧客のカスタマージャーニーに主要な各地点で影響を与えるため、自分たちで「リテーラー以上、データ企業以上、メディア以上」の存在だと位置づけている。リテーラーとして顧客と継続的な関係を築いてきたから、クライアントと顧客が継続的な関係を構築することに貢献できるという意味だ。

自社の顧客についても調査データを開示している。例えば、以下のようなものだ。

○ 48%の顧客がオンラインでリサーチしてから店舗で購買していると回答。
○ 顧客の半数がソーシャルメディアが購買の意思決定を行うのに重要になってきていると回答。
○ 21%の顧客が携帯電話で商品を閲覧するものの、その商品をラップトップやデスクトップでのオンラインで購入すると回答。
○ 19%の顧客が店舗内で商品を閲覧するものの、その商品をオンラインで購入すると回答。

日本のデジタルサイネージとの決定的な違い

また、デジタルサイネージなど店舗での広告については以下のような調査結果がある。

○ 70%の顧客が「TV Wall」が設置されているセクションで購買したことがあると回答。
○ そのうち40%がテレビ広告を見ると回答。
○ 同じく81%がテレビ広告から商品やブランドを見つけることをいとわないと回答。
○ 95%の顧客がセルフチェックアウトを使ったことがあると回答。
○ 17%の顧客がセルフチェックアウト使用時に広告を見たと回答。
○ そのうち29%の顧客が新たな商品を広告で知ったと回答。
○ 73%の顧客がセルフチェックアウト時の広告で新たな商品を知ることにはオープンであると回答。

これらは実店舗があるリテーラーしか得られないファーストパーティ・データであり、「リテールメディア2.0」に店舗広告が強調された理由がわかるだろう。

ただし、ウォルマートの店舗広告が効果を発揮するのも、顧客とスーパーアプリでつながっていることが前提となっている。日本の店舗で見る巨大画面のデジタルサイネージがいまひとつ興味をひかないのも、スーパーアプリの前提が抜けているからだ。