トランプ「ウクライナの戦争は1日で終わらせる」

アメリカが、ウクライナが“負けない”程度の支援しかしないとすると、ウクライナ単独でロシアに勝つのは難しいでしょう。しかも、アメリカの野党・共和党では、「もうウクライナへの支援をやめるべきだ」という論調が支配的になりつつあります。

ただ、これがイスラエルとイスラム組織ハマスの戦いとなると、アメリカ議会の意見は別になります。共和党も与党の民主党もイスラエル寄りで、「イスラエルには、もっと軍事支援をしよう」と声を揃えています。そうなればアメリカは、ウクライナに支援をする余裕がなくなります。

それでも、ジョー・バイデン大統領は何とかウクライナへの支援を続けようとしていますが、2024年年11月のアメリカ大統領選挙で、もしドナルド・トランプが共和党の候補として当選すれば、情勢は変わるでしょう。

トランプは「俺が大統領になったら、ウクライナの戦争は1日で終わらせてみせる」と豪語しています。この発言の意味するところは、ウクライナへの支援をいっさい止めるということです。そしてトランプ“新大統領”は、ウクライナに「ロシアに降伏しろ」と勧告するでしょう。アメリカの支援を失えばウクライナは戦えません。だから「1日で終わる」と言うのです。

戦争が続くかどうかはアメリカ次第

すでにアメリカでは、大統領候補者を指名するための党員集会と予備選挙が始まっていますが、誰が次期大統領になるにしても、アメリカの国内情勢がロシア・ウクライナ戦争の行方を左右することに違いはありません。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、メディアとの会見で停戦交渉の可能性について聞かれたとき、「その(停戦交渉の)つもりはない。ロシアがウクライナから部隊を撤退させないかぎり、停戦には応じない」と、怒気どきをはらんだ声で否定しました。

こうしたゼレンスキーの姿勢は、アメリカからすれば傲岸ごうがん不遜に見えます。「だったらウクライナだけで戦えばいい。アメリカは関知しない」となりかねません。さらに言えば、「ウクライナはヨーロッパなのだから、ヨーロッパのNATO軍が助ければいい。なぜアメリカがわざわざ手を貸す必要があるのか」という考え方が生まれます。つまり、この戦争の行方はアメリカ次第なのです。