消費者物価対策のためにすべき2つのこと

私は2つ対策を提示しました。どちらも簡単ではありませんが、インフレへの対策として有効です。

「1つは、資産運用です。春日さんは、十分な貯蓄をお持ちですが、そのほとんどは定期預金です。現状ではほとんど利息が付かず、物価が上昇している現状では実質的に目減りしていることになります。投資信託などで資産運用をすることで、貯蓄の目減りを防ぐことができます」

「資産運用というと、損してしまうこともありますよね」

「確かに損失の可能性はあります。ですから、ご資産のすべてを運用に充てるわけではなく、一部を運用されてみてはいかがでしょうか。資産を増やすのが目的ではなく、目減りを防いでくれればよいのですから、慎重に運用をされるとよいでしょう」

「そうですか。それでは資産運用の話も聞かせてください。ところで、もう1つはなんでしょうか?」

「これまでも意識されてこられたことと思いますが、ご長男が収入を得ることです。自立した生活が送れるほどでなくても構いません。少しでも収入が得られれば、将来の状況は改善します。物価の上昇が続くと、賃金も上昇する傾向にありますので、これもインフレ対策として有効です」

「そうですね。簡単なことではありませんが、あきらめずに本人に促していきたいと思います」

「ご本人の意向が大切ですので、焦らずに声かけをしてみてください。シミュレーションでご覧いただいたように、貯蓄が不足するとはいっても40年以上先のことです。その間に経済状況も変わってきますので、すぐに心配いただく必要はありません。できることから少しずつ取り組んでみてください」

最近の経済状況の変動はファイナンシャル・プランナー泣かせです。シミュレーションの結果で相談者を驚かせてしまうこともあります。背景を丁寧に説明することで、不安にならずに、前向きに捉えていただけるように努めています。

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