長男が80歳になった時点でも2000万円以上の貯蓄残高を維持

そして、定年を機に「長男は今のままでも生きていけるか、診断してほしい」と筆者の元を訪れました。早速、春日さんから家計や貯蓄の状況を伺ってシミュレーションを作成しました。

〈5年前の状況〉
収入
・春日 徹さん:給与収入450万円

支出
生活費:年額280万円

資産
預貯金:3750万円
・まもなく退職金2000万円が入る予定
・自宅(持ち家)

その時に私が作成したシミュレーションのグラフが図表1です。

【図表】5年前に試算した将来の家計の状況
筆者作成

65歳でリタイアした後は、徐々に貯蓄を取り崩していくことになりますが、それでも両親亡き後、長男が80歳になった時点でも2000万円以上の貯蓄残高を維持することができそうです。春日さんが当時すでに十分な貯蓄(3750万円)を持っていたこと(春日さんが相続した資産含む)、長男が一人っ子なので、将来春日さんご夫婦の財産を100%相続することなどが幸いしました。シミュレーション結果を見て時の春日さんのほっとした表情をよく覚えています。

そして5年の時を経て、春日さんは再び私にシミュレーションを依頼されました。

「私もとうとうリタイアすることになりまして、この機にもう一度将来の状況を分析してもらいたいと思いまして……」

と言っても、65歳でリタイアすることは前回に織り込み済みでしたので、特に状況が変わったわけではありません。それでも安心したいとのことでしたので、筆者は再びシミュレーションを作成しました。

するとどうでしょう。筆者も春日さんも「えっ」と声を上げてしまいました。