“美味しい”に国境はない

「多賀野」には外国人のお客さんも多い。外国人のお客さんというと観光客をイメージすると思うが、「多賀野」に来る外国人客はリピーターが主だという。

「彼らは何度も来て同じメニューばかり食べていきます。塩ラーメンばかり食べる中国人の方や、ごま辛(ごまの辛いそば)ばかり食べる欧米の方、ベルギーの方で週2回来られる方もいます。あくまで“和”のラーメンなのですが、彼らとしても食べたことのない味なのだと思います」(正弘さん)

正弘さんと多賀子さんが夫婦並んで作る姿は、こちらが笑顔になってしまうぐらいの幸せ感。時にはケンカをしながら作っているが、それもスパイス。常連客はそれを見ながらニヤッと笑っている。

厨房に立つ妻の多賀子さん
筆者撮影
厨房に立つ妻の多賀子さん

これからはお店をゆっくり続けながら弟子を育てていく。

「多賀野」出身の店には「とんちぼ」「榮田」「笑歩」「時雨」など各地の名店がある。

弟子に包み隠さず教え、「多賀野」イズムを伝えていく。今も、修業をしたいと弟子候補の履歴書が10通順番待ちをしているという。

職人の魂の入ったラーメンは相手が日本人でも外国人でも関係ない。

美味しいに国境はないのである。

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