日常のコミュニケーションも含めて考える

4:1は、1回の面談のなかでの割合ではなく、日常のコミュニケーションも含めた全体での割合です。ちなみに、1回の面談で「1個指摘して他4個ほめる」というハイブリッドをすると、「結局、この面談で何が言いたかったのか?」「私はほめられたのか? 叱られたのか?」と論点がブレて効果が低くなります。また、わざわざ指摘する必要がない部下へ「4回ほめたから1回は指摘しないと」と義務的にやるものでもありません。

向かい合って仕事をする人たちのイメージ
写真=iStock.com/JohnnyGreig
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減点主義で気になったときやミスしたときだけ指摘するのではなく、上司はもっと、「あなたのことを気にしていますよ」「あなたのことを応援していますよ」「あなたの行動は良かったですよ」というポジティブ(肯定的)なメッセージを部下に送り続けるコミュニケーションが重要です。

日常的にポジティブなメッセージを8割くらい送りながら、どうしても足りない部分や改善してほしい点があったときに、「今日は改善してほしいところについてお話ししたいと思っていますが、今話しても大丈夫ですか?」と声をかけると、部下も受け入れやすくなります。

「機械のような上司」になってはいけない

ポジティブなコミュニケーションは、必ずしも業務や成果に対するフィードバックに限りません。「相手に肯定的な感情やメッセージを伝える」こと全体を指します。

「ほめる」「承認する」「信頼する」「感謝する」「任せる」「微笑む」「喜ぶ」「明るく声をかける」「意見を求める」「興味をもって質問する」「仕事に意味づけする」「理想や目的を語る」「理解を示す」「仕事以外の会話を楽しむ」「イイねボタンを押す」「部下の投稿にコメントする」「注目する」「話を最後まで傾聴する」「誠実な関心を持つ」「喜怒哀楽の感情に共感する」「受け止める」「受け入れる」「達成を支援する」「夢を応援する」「気づきを促す」「寄りそう」「一緒に考える」「うなずく」「目を見る」……。

バーバル(言語)・ノンバーバル(非言語)の総体が8割以上ポジティブであれば、部下との関係性は良好になっていくはずです。逆に、こうした肯定的なコミュニケーションをまったく行わない機械のような上司であれば、部下にすれば生成系AIとチャットをしているほうがよほどマシです(最近のAIは、寄り添った表現も得意になっています)。