※本稿は、池畑玲香『自分の顔は自分でつくる 戦略メイク』(BOW BOOKS)の一部を再編集したものです。
仕事はデキるけど、外見はパッとしないA課長
「なぜかスルスルと、理想の未来をかなえている人たち」の存在に、私が気づいたきっかけとなったシーンがあります。まずはそのお話をさせてださい。
外資系企業の役員秘書時代、担当本部内に、A課長とB課長という、全くキャラクターの違う2人の課長がいました。
課長になって数年、仕事の能力が高いのはもちろん、部下との信頼関係もしっかりできているA課長。部下はA課長を信頼し、安心して仕事ができています。もちろん直属の上司である部長にも、その能力は買われています。
ですが残念ながら、外見が今ひとつパッとしません。レンズが汚れたメガネ、しばらくカットしていなさそうなヘアに、シワが目立つスーツ。全体的になんとなくもっさりしていて、傍目には、とても「デキそう」には見えないのです。
役員の目にとまったのは新米のB課長
一方、昇進したての若手、B課長。能力はあるものの、まだまだ課長としては新米です。やる気だけが空回りしているところもあり、部下からは、「課長、また新しい仕事引き受けちゃってテンパってるよ、俺らもいい迷惑」と、ヒソヒソ陰口を叩かれてしまっています。
とはいえ、体のサイズに合ったスーツをパリッと着こなし、すっきりとカットされた清潔感のある髪に、キリッとした顔つき。スマートな身のこなしは、なんだか「デキそう」な雰囲気を醸し出しています。
あるとき、会社全体で課長以上を集めたタウンホール・ミーティングが開催されました。
その際に私は、ある役員さんが「あいつ誰だ」と1人の男性を指差して、自分の部下に何やら質問し、他の役員とヒソヒソ話をしているのを目にしてしまったのです。
一体何があったのだろう? と後からその部下の方に聞くと……。
「あいつできそうだな」「なんてやつだ」と名前と所属を聞いていたというではありませんか。
そう。B課長です。「近いうちに、何かやらせるつもりなんじゃないかな」とその部下の方が言っているのを聞いて心底驚きました。