人は味覚という煩悩を超えると「無味無臭」を好むように
白湯の健康効果に関しては医師や薬剤師などが、内臓の温度が上がって冷え性を改善する、血液の循環が良くなる、基礎代謝が上がってダイエットにもなる、といったことを述べています。また、東洋医学に詳しい島根大学医学部付属病院・教授の大野智さんによると「胃腸が温まることで、消化管(胃・腸など)活動を高める」「水分を摂取することで便が軟らかくなる」そうです(「便秘を改善⁉ 『白湯』の効果とは?」)。体内の余分な水分を排出してむくみ改善がある、という声もあり、自宅で準備すればほとんどお金がかからない白湯のパワーはすごいです。
白湯を飲んで感じた味によっても体調がチェックできるそうです。苦いと感じた時は寝不足、ストレス、胃酸過多、甘いときはほてりやむくみがある、酸っぱい時は水分不足、しょっぱい時は冷えている、など。おいしいと感じられる時は体調が良いそうなので、積極的に白湯を飲む20代の「白湯男子」は若くて健康ということかもしれません。
また、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」の理念では、白湯には「水」「火」「風」の3つの要素が含まれているので、飲むことで心身のバランスが整えられるとされています(内科医・関由佳さん)。心が乱されがちなニュースが多い昨今、本能的に白湯を求める若者が増えているのでしょうか。
白湯はこれまでも意識の高い人の間で注目されていました。
私見ですが、ソフトドリンクは意識の高い順に、白湯>ハーブティー>カフェイン入りのお茶やコーヒー>ジュース、といったランクがあるように思います。
昔、美容意識が高い女友達とカフェに行って何気なく紅茶を頼んだら「えっ、ハーブティーじゃないんだ……」と驚かれたことがあり、軽い焦燥感を覚えました。それでも、ハーブティーはまだ味を楽しむという嗜好的要素があります。
人は味覚という煩悩を超えると、無味無臭の白湯を好むようになります。もはやカフェにも行かず、家でお湯をわかしてタンブラーや水筒に入れて持ち歩くようになったら、飲み物マウントの勝者といっても過言ではありません。水道水を沸かせば経済的にも節約になるし、ペットボトルや紙コップも使わないので環境にも優しいです。