2023年の皇室報道はどんなものがあったのか。現在三の丸尚蔵館で開催中の「皇室のみやび展」などに足を運んだコラムニスト・イラストレーターの辛酸なめ子さんが天皇ご一家、秋篠宮家、そして「皇族の人数が減っていく中、貴重な存在」という愛子様、悠仁様を巡る報道を振り返った――。
皇室に伝わる美術工芸品を見に行った
リニューアルオープンした皇居三の丸尚蔵館(千代田区・皇居東御苑内)で開催されている「皇室のみやび」展。皇室に伝わる美術工芸品を中心に、8カ月にわたって開催中です。
作品数が多いので4期にわけられていて、たとえば第1期(11月3日~12月24日)は「蒙古襲来絵詞」、伊藤若冲「動植綵絵」(第4期も)、高階隆兼「春日権現験記絵」、第2期(2024年1月4日~3月3日)は川合玉堂「昭和度 悠紀地方風俗歌屏風」、横山大観「日出処日本」など、珠玉の美術品が集まります。
皇室は最高峰の美術品を代々受け継いでいく、という存在意義もあるように思います。展示図録によると、三の丸尚蔵館は、上皇陛下と香淳皇后が約6000点に及ぶ美術工芸品を国にご寄贈になり、それらを宮内庁が所管したことを契機として設立されたとのこと。
秩父宮家、高松宮家、三笠宮家など各宮家からも名品が次々と寄贈されています。買い上げたり献上されたりで集められた貴重な美術工芸品を国に寄贈し、惜しげなく国民に公開してくださるとはノーブレス・オブリージュ精神の極み。
そういえば秋篠宮家も、かつて庭に巨大なニワトリのモニュメントがあったそうですが、きっと個性的な名品がいつか寄贈されるのでは? と一庶民ながら期待しています。また、皇室の一員として、最高レベルの美術工芸品に触れてこられた眞子様が、その豊かな感性をアメリカの美術館で生かせる日が来ることを祈ります。