ネット通販を前提とした商品企画を考える
ネスレ日本(以下、「ネスレ」)は、元々ユーザーの声を生かした製品開発を進めてきた。特に有名なのは、Sカレのテーマでもあるキットカットだろう。ネスレ(当時は、ネスレコンフェクショナリー(株))は、2000年頃、ユーザーが受験シーズンになるとキットカットを「きっと勝つと」というげん担ぎのアイテムとして購入していることに気づき、サクラサクキャンペーンとしてキットカットに新しいブランド価値を与えることに成功した。以降、ネット・コミュニティを活用したり、最近ではソーシャルメディアの利用にも力を入れたりしてきた。
Sカレへの協力は今年で4年目となり、すでに過去2つの商品企画について、実際に開発販売に至っている。2010年の近畿大学チームが企画した「想咲パズル」は、キットカットの販促グッズとして企画された。12ピースの白色のパズルが用意され、ユーザーが自由に応援の言葉や絵を書き込む。そしてパズルをばらした状態で応援したい受験生等にプレゼントすることができる。
2011年には、山口大学チームが「きっと勝つ丼」を企画した 。その後開発過程でよりコンセプトが明確にされ、2012年10月に「キットカット サクラサク出前セット」としてネット上で限定販売されるに至っている。こちらはキットカットの受験生応援というイメージをうまく利用しつつ面白さや楽しさを付け加えた商品であり、岡持ちに入ったどんぶりの中にキットカットが入っていて、受験生にプレゼントして気持ちを伝えるものとなっている。
http://www.youtube.com/watch?v=_47xwn81J44
→「ネスレ通販オンラインショッピング:『キットカット サクラサク出前セット』」
https://shop.nestle.jp/front/category/Demae/
ネスレでは、キットカットというブランドの独特なイメージもあり、もともとSカレ以外にも学生と一緒に企画を考えたり、実際に製品開発を行なったりということはあったという。さらに、学生のみならず、コンビニチェーン等とも協力することで、ユーザーの声を集めながら製品開発を進めることもあった。いずれにおいても、社内だけで開発を進めているとどうしてもアイデアがマンネリ化してしまう危機感があり、外部からいかにして新しい風を取り組むのかが考えられてきた。
こうした様々な活動の中にあって、特にSカレでは、実際に開発販売までを行なうという意識のもとで参加をしてきたという。商品企画だけを考えるというプロジェクトももちろんあるが、その一歩先まで考えるということの重要性が認識されている。気軽に意見を聞いてみようという感覚ではなく、前回 に引き続き、それに関わるという当事者意識が大事であるように感じる。
http://president.jp/articles/-/7811