ソーシャルとネット販売
ネスレがSカレに提供しているテーマは、基本的にネット上での販売を念頭に置いている。最近はネット通販の規模も大きくなってきており、コーヒーマシンを中心にして、キットカットはもちろん、それからネットだけで販売されている企画商品が売れるようになってきているという。
ネット販売は、Sカレがネット上で行なわれるということや、さらにはソーシャルメディアとも相性がいい。水越他「新しいブランドコミュニティとしてのソーシャルメディア」(『マーケティング・ジャーナル』第126号、64-83頁、2012)では、ちょうどドクターシーラボの事例を取り上げた。ソーシャルメディアのマーケティング効果はなかなかに難しい課題だが、ECサイトを持っているドクターシーラボの場合には、その効果がみえやすく利用しやすいということだった。ソーシャルメディアがどういう効果を持つのかはまだまだこれからの課題だが、一つの方向性として、ネット販売と組み合わせていくという方法があるのだろう。
※ネット上では確認できないが、興味のある方は協会に連絡してほしい。
http://www.jma2-jp.org/business/jmamagazine.html
ネスレでは、ソーシャルメディアをモニタリングして製品開発に生かす試みもはじめている。そのための部署もあり、ツイッター等の情報をまとめた日報の提供や、さらには必要に応じて過去履歴を確認できるようになっている。例えば、2010年に発売された「キットカット オトナの甘さ」では、製品に関する情報がネット上に書き込まれていることが確認され、その内容を参考にして販売方針が微調整されている。また、キットカットと受験の関係についても、ソーシャルメディア上でのコメントが確認されている。「予備校の先生が買ってくれた」といったつぶやきや、「友人にプレゼントしよう」というつぶやきをみることができるという。
ただ、これらのソーシャルメディア上の情報はあくまでつぶやきであって、臨場感はあるものの、それ自体がすぐにユーザーのインサイトにつながるものではない。大事なことはこれらの情報をもとにユーザーのインサイトを捉えることであり、そのための方法が日々模索されている。Sカレの場合ならば、学生とのやりとりも行なうことができる。ユーザー参加型製品開発の一つの強みだろう。