「個人的な見解」ではなく「自分の意見」を言えばいい

なぜなら、自分の意見が「個人的な見解」であるのは当たり前で、それをわざわざ強調する必要はないからです。「個人的には」と加えることで、「発言に責任を持ちたくない」という意図が透けて見えます。

ビジネスにおける会議は、個人的な意見を述べる場ではありません。とくに「何かを決めるべき状況」においては、この言葉を使うのはやめましょう。あなたがその場にいることで背負っている責任を理解して、「自分の意見」を言えばいいのです。

会議でプレゼンする人のイメージ
写真=iStock.com/tsuyoshi_kinjyo
※写真はイメージです
その2 「ぼやけた全体像」を捨てる

教育業界の名のある方に、「伝えるコツ」について、お話を伺ったことがあります。その方は、「話をするときは、まず地図を用意する。そのあとに、どう歩いたかを提示する」と答えていました。

これを私なりに解釈したのが、「全体像の提示→具体の提示」という順番で話すというものです。

最初に大枠で「話の要点」と「聞く人に何をしてほしいのか」を提示しないと、迷子がたくさん生まれてしまいます。細部から話を始めると、全体像が見えていないため、聞いている側の思考もあっちこっちに飛んでしまい、結果的に時間泥棒になりかねないからです。

この話をするときに一番イメージしやすいのが、じつは新人の芸人さんの漫才です。

「名前だけでも覚えて帰ってください」

こんな前フリの言葉に聞き覚えはないでしょうか。これは、「この先にいろいろネタをやるけど、今日のゴールは名前を覚えてもらうことですよ」と、目的地を先に提示して誘導しているわけです。

全体像を明確にしないと伝わらない

全体像を明確にしないとどんなことが起こるのかは、仏教が出典のお話を知れば、より理解が深まります。

「群盲象を評す」という寓話ぐうわです。あるとき、6人の目の見えない人たちに象に触れたときの印象を問うたところ、各自の答えはまったく違うものだったそうです。

・象の鼻を触った者は「蛇」
・耳を触った者は「扇」
・牙を触った者は「槍」
・足を触った者は「木」
・体を触った者は「壁」
・尻尾を触った者は「ロープ」

そう、誰一人として「象」の全体像を捉えてはいなかったのです。このとき、誰かが「あなたが触っているのは象だよ」と最初に教えたなら、自分が象のどの部分に触れているのかを判断することができたでしょう。

これから何かを伝えるときには、細部の話を捨て、まずは目的地を明確にして、相手に提示することを意識してください。

その3 「抽象的な説明」を捨てる

「営業になったからには、数字を使いこなしなさい」

コピーライターになる前の新入社員のころ、先輩によく言われた言葉です。

営業という仕事は、どんなにおもしろい企画やプロジェクトも、最終的に値札を貼ってお客さんに売らなければならない。そこで、感情を排して合理的に説明できるのは数字しかないのだ、と教えられました。