習近平政権に都合の良く変える「宗教の中国化」政策

参考までに日本のように無宗教者が多くを占める国は、アジアに多い。

たとえば、伝統的には儒教や道教、あるいは日本仏教の祖ともいえる宗教大国であった中国は、現在ではどうか。表面的には「中国公民は、宗教信仰の自由を有する」(中華人民共和国憲法第36条)と定めながら、他方で中国共産党の権威を維持するために、厳しく信教の自由を制限してきた実情がある。

はためく五星紅旗
写真=iStock.com/Rawpixel
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習近平政権になってからは、中国共産党にとって都合の良い宗教へと変えていく「宗教の中国化」政策を敷いている。そのため、現代中国人の宗教への帰属意識は極めて低く、無宗教を標榜する割合は9割を超えるとされている。香港も無宗教が多数を占める。

人口およそ14億人を有する中国人のおおかたが無宗教層なのだ。よって、世界での宗教勢力の第2位もしくは第3位(第1位:キリスト教22億人、第2位:イスラム教16億人)を、無宗教層が占めていることになる。

北朝鮮は、朝鮮戦争以前までは仏教などが広がっていたが、独裁政権になってからは国民のほぼ全てが無宗教である。韓国では信仰を持つ人口と、無宗教人口が半々といわれる。

欧米で無宗教者が多いのがチェコとエストニアだ。日本外務省の海外安全情報には、「人口の約58%が無宗教。約26%がローマ・カトリックを信仰している」と書かれている。バルト三国のひとつエストニアも「国民の半数以上が無宗教」としている。

パレスチナ問題をはじめ、宗教動向は、時に国家の枠組みをも変える。ジョン・レノンは、名曲「イマジン」のなかで《想像してごらん 宗教のない世界を》(一部編集)と歌った。無宗教の世界的な広がりは、人類を幸福にするのか、それとも――。

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