歳を重ねても健康でいるにはどんな食事を摂ればいいか。医師の大坂貴史さんは「自分がどんな食品をどれぐらい食べたらよいのかを正しく知るというのはかなり難しい。こうした事情から、国民の4割以上が肥満のアメリカではシンプルな食事ガイドが求められ、『プレート法』と呼ばれる食事法が一般的にすすめられている。これは23センチほどのお皿を用意し、その半分に『でんぷん質のない野菜』を詰め、4分の1を『脂肪分の少ないたんぱく質が多くふくまれる食品』、最後の4分の1を『炭水化物食品が多く含まれる食品』を満たすものだ」という――。

※本稿は、大坂貴史『75歳の親に知ってほしい!筋トレと食事法』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

野菜や野菜、キャベツ、アスパラガス、マランダン、デコポンの果物。
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一番大切なことは太らない、痩せすぎない

「健康的な食事を思い浮かべてください」と言われたら、どのような食事が出てくるでしょうか? 野菜、豆腐、玄米……。いろいろな食事を想像されたと思います。

「食事で健康になりたい!」と考えた時に(合っているかどうかは別として)テレビやインターネットで、○○が健康によい! というような話はたくさん聞かれると思います。こういった話は広がりやすいのは確かでしょう。ただし、大事な点が欠けています。それは「適切なエネルギーをとる」という概念です。

つまり、どれだけよいものを食べていたとしても、食べすぎては太りますし、食べる量が少なくて痩せていても、よくありません。「何を食べるのか?」ということと同時に「どれぐらい食べるのか?」ということを考えましょう。

太りすぎはなぜよくないのでしょうか? 肥満は2型糖尿病、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症、心臓病、脂肪肝、(女性の)月経異常、睡眠時無呼吸症候群、変形性関節症、慢性腎不全などに関係していることが知られています(※1)これらの病気は食事を減らすことで一定の予防や改善が可能です。

どれだけ「健康にいいもの」を食べていても、それによって太りすぎる結果になってしまうのではよくありません。国民健康栄養調査(※2)によりますと、太っている人(BMI≧25kg/m2)の割合は男性で33.0%、女性22.3%で男性では平成25年から増加しています。何を食べるかが難しい場合、まず量を減らすことも大きく健康へつながります。

痩せすぎもよくありません。痩せすぎは高血糖(※3)骨粗鬆症(※4)、(女性の)月経異常(※5)脳卒中、心筋梗塞、全ての死亡のリスク(※6)に関連していると報告されています。

また、痩せすぎの中でも筋肉が減っているサルコペニアの状態ですと「5.筋肉があることはあらゆる健康につながる」でもお話ししたように、2型糖尿病(※7)非アルコール性脂肪肝、メタボリックシンドロームなどの代謝疾患(※8)高血圧症(※9)などとも関係しています。痩せすぎの人は食事の内容にこだわることも大切ですが、とにかく体重を増やす、というのも大切です。