倒産企業の半分は“黒字倒産”

黒字倒産を防ぐ「資金繰り表」のつくりかた
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黒字倒産を防ぐ「資金繰り表」のつくりかた

2008年度の上場企業の倒産件数は戦後最悪の45件。そのうち、決算書上では利益を出しながら倒産に陥る、いわゆる黒字倒産が21件にも達した。リーマン・ショック以降、業績は好調なのに資金繰りに四苦八苦する企業が後を絶たないのである。

なぜ、儲かっているのに資金繰りに苦労し、しまいには倒産してしまうのか。資金繰りコンサルタントの肩書を持つ小堺桂悦郎氏は、「キャッシュフローが滞り、売り上げと入金にタイムラグが生じるから」と語る。

資金繰り悪化の要因は何か。その筆頭にあがるのが、「在庫がたくさんある」状態である。

「在庫は売り上げて初めて現金になりますが、決算書上では資産として現金を持っているのと同じ扱いになります。しかも、商品(在庫)は売り上げ前に仕入れなければならないので、売上金を受け取るよりも先に仕入れ費を支払うことになる。商談が成立し納品が完了しても、支払いが月末ということはよくあります。その結果、入金が遅れ、借金しないと資金がショートしてしまうのです」

例えば、売り上げが100万円でその原価が40万円、経費が20万円の取引があったとしよう。決算書では、100万円-(40万円+20万円)で利益は40万円となる。ところが100万円の売り上げのうち、50万円が1カ月後の入金、残り50万円は2カ月後の入金となり、さらに原価と経費は1カ月後に支払わなければならないとすると、1カ月後の時点では50万円-(40万円+20万円)で10万円の現金がショートすることになる。

「在庫は商売をするうえで不可欠ですが、その管理が杜撰だと資金繰り悪化の要因となります。会計帳簿だけでなく、一定期間ごとに会社の在庫や資産を確認することが重要ですね」

黒字なのに資金繰りが悪化する第二の理由は、売掛金(未収金)や貸付金が多いこと。仮に取引先の業績悪化によって売掛金が回収不能となれば、それは不良債権化することになる。

「会社が成長期にあるときは売り上げが急拡大するので売掛金が増加することはよくある。そんなときは銀行も事情を理解し支援してくれるかもしれませんが、売上高の伸び率を売掛金の増加率が上回るのは危険です」