千葉県郊外から激安物件が消えた理由

その状況に、はっきりと変化が訪れていると認識したのはいつごろだろうか。

もしかすると僕がブログを開設した時点で、すでにその変化は進んでいた最中だったのかもしれないが、いつの間にか千葉県北東部の廉価物件は、広告が出されてもたちまち成約してしまうような商品となり、そのうち、以前ならいつでも容易に見つけられたような、200万~300万円の価格帯での売家そのものが、物件情報サイトに登場することはほとんどなくなってしまった。

建物の模型
写真=iStock.com/ridvan_celik
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そのタイミングが、ちょうど新型コロナウイルスによる全国的な行動制限の時期と重なっていたために、こうした限界ニュータウン、限界分譲地の相場価格の上昇が、リモートワークの普及に伴う郊外志向にあると推測する言説を見かけることがあった。

しかし、いくらリモートワークが普及したと言っても、軽井沢のような誰もがリゾート地としてすぐに思い浮かべるような著名な観光地でもなく、「住みたい町ランキング」のようなものにも一切名を連ねてこなかったような千葉の小都市に、いきなりその地の不動産市場を激変させるほど移住者が殺到するものなのか、僕には疑問だった。

もちろん、その選択が全くなかったとは言わないし、特にアンケートや統計を取ったわけでもないので結局は僕の憶測に過ぎない話なのだが、現在の千葉県の限界分譲地の中古住宅は、都市部からの流入がメインだった開発当初と異なり、今はその多くが地元出身者や近隣住民の住み替え需要が中心だ。

僕も含め、移住者がまったくいないわけではないのだが、それが多数派になっているような様子も見られない。

売れ行き好調の原因は複合的

原因は僕なりにいろいろ考えてはみた。たとえば、もともと新型コロナウイルスの流行以降は、限界分譲地に限らず首都圏全域で物件価格が上昇気味であり、その価格上昇の波が千葉県の郊外まで押し寄せてきたこと。あるいは、一時期騒がれたウッドショック(本書執筆時点では木材価格は下落傾向にあるが)により新築住宅の建築費用が高騰し、中古住宅の需要が増加してきたこと。

また、なかなか上昇しない平均所得を補完するものとして副業が注目を集める中、キャッシュでも買える価格帯の中古住宅が豊富な千葉県北東部が、不動産投資の好適地としてにわかに注目を集めたこと、などである。

おそらくどれが決定的な要因とも言えず、様々な要因が絡み合っての結果なのだろう。

また、立地条件は周辺のほかの限界分譲地と何も変わらなくても、1980年代後半以降に開発された分譲地は、道路の幅員や1区画当たりの面積が比較的余裕をもって造成されていて、現代の住宅分譲地と遜色そんしょくない規格のところもある。