どうすれば「欲しい気持ち」を引き出せるか
たとえば、僕は「ルイボスティー」が大好きなので、ルイボスティー屋さんを始めたとしましょう。「どうすれば売れるだろうか?」と考えるとき、ルイボスティーの価値に「気づいている人」と「気づいていない人」の2種類のお客様がいて、それぞれ売り方が変わってきます。
ルイボスティーの価値に「気づいている人」には、「他のルイボスティーとの違い(特長)」をつくり、それを訴求していけばいいですよね。では、ルイボスティーの価値に「気づいていない人」に対してはどうすればいいでしょう?
気づいていない人というのは「まだ飲んだことがない人」か、「これまでに飲んだルイボスティーはおいしくないと思った人」ですよね。そういう人には、「僕のルイボスティーの価値や魅力に気づいてもらう」ということが必要です。簡単に言うと、商品の価値に気づいている人には「他者(社)との違い」を、気づいていない人には「この商品を買うことで幸せになれること」を伝えていくといいですね。
そうすることで「欲しい気持ち」を引き出すことができます。
たとえば、僕は「上司向けの質問力」という研修プログラムを企業に提供しています。「上司が指示命令をやめて、問いかけをすることで自分で考えて行動する部下を育てていく」という内容です。僕の本などで勉強されている経営者や人事部の方などは、「なぜ、上司に質問力が必要か」をすでにご存知なんですね。「気づいている人」です。こういう方には、研修プログラムの提案書をお送りするだけで契約が成立します。
「気づいている人」に売るのは簡単
一方、偶然出会った方や、人づてにご紹介いただいた方などは、「なぜ、上司に質問力が必要か」をご存知ありません。まだ「気づいていない人」です。こういう方には、面談の時間をいただいて、1時間くらい対話をして「上司の質問力」の必要性に気づいてもらい、「欲しい!」を引き出しています。
商品の価値に「気づいている人」と「気づいていない人」がいるというお話をしました。もちろん、両方に売ることができるといいのですが、僕は、「気づいていない人に売る」ことに力を入れていくほうがいいと思っています。たしかに、「砂漠を旅する人に水を売る」といったように、商品の価値に「気づいている人」にそれを売るのは比較的簡単ですよね。本人も「欲しい」と思っているのだから、会話をする必要もないかもしれません。
「この水の特長」と「価格」を伝えればいいですよね。相手はそれで買うか、買わないかを判断することができます。ただし、これには大きな問題もあります。ライバルが多くなるのです。選ばれるために自分の店の特長などを打ち出し、その違いがいいものであればあるほど、すぐに他店もマネをします。そうなると、最終的には価格の競争になり、お客様を奪い合うことになります。そこで、大切になるのが「気づいていない人に売る」ということです。