身体の健康は脳の健康に繋がる
脳の島皮質で「知覚からの情報」と「身体の中の情報」が溶け合い、感情がつくられます。つまり、身体の中から脳が受け取るシグナルもメンタルを左右しているのです。
「身体と脳は別物だ」というイメージを持っているかもしれませんが、脳も身体の一部であり、脳だけ独立しているわけではありません。脳は脳脊髄液という液体に浸かっていますが、脳脊髄液の状態は血圧や血糖値、血中脂質などによって変化します。つまり身体が健康だと脳も良い環境で過ごせるのです。
運動すると、身体の器官や組織が強くなるだけでなく、脳脊髄液を安定させてくれます。また、肺が酸素を取り入れる能力も向上し、心臓や肝臓も強くなります。
そうやって脳が良いシグナルを受け取ると、受け取ったシグナルを基に感情がつくられるので、幸せな気分になる可能性が上がり、不快な感情がわくリスクも減るのです。
実際、運動はうつを防ぐために出来る1番重要なことの1つです。
「脳をストレスから守る」運動の効果
うつの原因は数多くありますが、長期にわたるストレスが最も一般的です。脳があまりに長い時間「闘争か逃走か」の状態にあると、恐ろしい危険にずっとさらされているというシグナルが出てしまい、「それなら引きこもらせて本体を守った方が良い」となるのです。それが「気分の落ち込み」という感情になって届き、うつになっていきます。
1番良いのはストレスを取り除くことでしょう。そうすればうつになるのを防げます。ストレスを取り除くには環境を変える、時間の使い方をうまく計画するなど、生活を変える必要があるかもしれません。学校の勉強とプロを目指してスポーツに打ち込むのは両立が難しい場合もあるでしょう。あるいは家族や友人関係のストレスなどが原因かもしれません。
原因にかかわらず出来るのは、運動をすることです。運動は身体を強くするだけでなく、脳をストレスから守る力も強めてくれます。それだけではうつが治らない場合もありますが、状況が少しはましになることがほとんどです。