AIが適した講座を紹介してくれる

社員はイントラネット上の「MySU」(マイエスユー:My Suntory University)から、大学内の学習コンテンツにweb上でアクセスできる。

同社ピープル&カルチャー本部の長政友美部長は「最初の登録の段階で、マーケティングやファイナンスなど自分が伸ばしたいスキルやレベルをいくつか選ぶと、AIがお勧めのコンテンツを紹介し、学べば学ぶほどAIが学習し、その人に合った内容の講座を紹介してくれます。また、SNSに似た機能もついており、自分がフォローしている人から新たなコンテンツを紹介してもらったり、利用者同士でラーニンググループをつくり、学習内容の共有化など学びを深める効果もあります」と語る。

ピープル&カルチャー本部の長政友美部長と上田俊二さん
撮影=プレジデントオンライン編集部

また、マネージャーは自分の部下がどんな領域に関心があるのか、部下の学習状況を一覧で把握できる。「メンバーの志向や学習の進捗状況を見た上でタイムリーに的確なアドバイスもできる」(長政部長)。23年10月にリニューアルしたMySUの利用者は世界で約1万4000人(23年12月末時点)に上り学びへの関心は高い。

50歳以上の社員全員に生成AIの研修を実施

さまざまなプログラムの中でとりわけ注目を引くのが中高年の学び直しに注力している点だ。他の企業では伸びしろのある20~30代の教育を重視する傾向があるが、サントリーは若年層だけではなく、中高年層のリスキリングにも意欲的だ。その典型が新浪社長肝いりで23年11月にスタートした50歳以上の社員必須の生成AIの研修だ。

「年齢に関係なくデジタル領域の学習は今後重要になると考えているため、50歳以上の社員全員が受講する生成AIの研修を始めました。最初は導入編として、どういう利用の仕方ができるかを学び、実際に使ってみるところからスタートし、今年は興味を持った人向けのコースを追加します。50代以上が生成AIを使えるようになれば、短縮勤務でも同質の仕事ができるようになり、仕事の幅が広がるかもしれません」(長政部長)