食欲旺盛でビール大好きな“デブ冒険家”の転換点
中高年になると、それこそ飲みすぎ、食べすぎ、運動不足がたたってきますよね。
加齢によって体は徐々に衰えつつあるのに、若いころと同じように飲んで、食べて、不摂生を続ければ、当然、それは不健康のもと。健康には適度な運動が一番効果的で、それをサポートするために栄養のある食事をきちんと摂る。その相乗効果が基本になります。
とはいいますが、もともとぼくは、厳しい節制を心がけていたわけではありませんでした。いつも食欲は旺盛で、ビールは大好き。
若いころは体力、元気があり余っていましたから、それでもよかったのでしょう。豊富な運動量で、過剰な摂取カロリーをしっかり消費していたのです。
ところが60歳を超えてくると、そうはいきません。
冬になれば毎日のようにスキーをしましたが、雪のない時期に体を動かすといえば、せいぜい、たまのゴルフぐらい。それでも、札幌はおいしい食べ物の宝庫のような街ですから“デブ”になることに努力はいりません。
テレビや雑誌などに引っ張り出されて、「プロスキーヤー」「冒険家」と紹介されるたびに、良心がとがめました。できることなら、若いころのようなスマートな体に戻りたい。そんな願望だけはありました。
よし、それなら明日からダイエットだ、やればできる! と思っている間に10年が経ち、気づくと体重は80kgを超えて、90kgも目前です。ぼくは身長164cmですから、もう正真正銘のメタボです。
そこから一念発起できたのは、「70歳でエベレストに登りたい」という大きな夢、目標ができたからにほかなりません。
何事もやりすぎは禁物
当時、ぼくは65歳。5年後の登頂から逆算すると時間はそれほどありません。
それこそ富士山を走って登れるくらいの体力をつけなきゃ、という気持ちがあったことで続けられた。
結果的に、それがぼくの一番の健康法になったと思います。
ぼくの場合は、走るよりも、先に紹介した、足に重りをつけた「ヘビーウォーキング」です。
このスタイルをやり抜いたことがよかったと思います。
歩くことは誰にでもできますし、体調しだいでは重りだってつけなくてもいい。
気の向いたときに歩き出せばいいし、無理する必要もない。
歩き終わったときの心地よい疲労感は格別です。体がリフレッシュするような気分に包まれ、また明日も歩きたいと思わせてくれます。
そうして体力がついて体重も減ってくると、体が軽くなって、スキーの調子もどんどん上がってきます。何をやっても元気に楽しめるから、人生そのものの次元が変わってきます。
ただし、やりすぎは禁物です。