ダイハツの傑作車たちが泣いている

正直、小沢はこの何十年間、何度もダイハツ開発者に会って開発ストーリーを聞いていますがとても信じられません。もちろん開発部と認証部署は完全に同じではありませんが、同じ開発部隊にあります。その組織の共有構造が諸悪の根源という説もありますが、それだけに信じられません。

報道された通りのトップからのプレッシャーなのか、トヨタへの忖度そんたくなのか、もっと他に理由があるのか。そこは今後の報告や沙汰を待ちたいですが、まずはこの不正を聞いて思い出すことがあります。

それは小沢が取材した数々のダイハツの平成の傑作車たちです。

例えば平成8年に出たダイハツ・ミゼットII。今となっては誰も乗ってない前代未聞の2人乗り軽トラック。名前やスタイルを見れば分かる通り、映画『三丁目の夕日』に出てくる「ダイハツオート三輪=ミゼット」の現代版。

ダイハツミゼットII
ダイハツミゼットII(写真=Comyu/CC-BY-SA-3.0-migrated-with-disclaimers/Wikimedia Commons

1950年代に生まれた昭和の名作の復刻版で、さすがに3輪車ではありませんでしたが、全長が2.8メートル弱と恐ろしく小さい。

すごいのはメーカー自身も多く売れるとは思っておらず、最初からほぼ手作り同然で、価格を抑えていること。46万9000~59万9000円と当時としても破格の安さでいろんな意味でマジメにミゼットの現代版を作り込んでいるのです。

コスパをトコトン追求する

ホディは当時の軽トラ・ハイゼットの流用で、テールランプはキャリイ用。エンジンはあえてキャブレター仕様で、左側ドアのガラスはハメ殺しでメーターの水温計すら省いていました。ブレーキも当然前後ドラム式で、全然マニアックではないのです。

さほど売れないと知りつつ、マジメにコストダウンを図ったところにダイハツらしさが光ります。良くも悪くもコスパ追究が自分たちの最大のレゾンデートルであることが心底染み付いているのです。

彼らは決して「高くて良いモノ」を作ろうとは考えていません。「安くて良いモノ」をトコトン追究し、そこにはいろんなものを省略する姿勢があります。今回はそこがイキ過ぎたのかもしれません。