ノウハウは少なく覚えて広く活用せよ
たとえば、身につけたノウハウに汎用性があることなどについては、とくに顕著である。また同時に、これは実に重要なポイントでもある。
汎用性があるということは、普遍性を持っていることにも通じる。1つのノウハウが、いろんな業界のいろんなケースで活かせるなら、こんなに都合のよいことはない。
とくに、あらゆる業種を扱うコンサルタントが身につけるノウハウには、汎用性が求められる。汎用性があるノウハウなら、少なく覚えて広く応用できる。逆に、これでなくては経営コンサルタントとして通用しないといってもいい。
よく私たちの業界でも、若い人たちから「大企業での業務の経験がないから、組織がよくわからない。ついては、よい仕事をするためにも、短期でいいですから、どこかに出向させてくれませんか」などと申し出があったりすることがある。
熱心な姿勢はいいが、これでは困るのだ。
なぜなら、新しいタイプや業界の仕事を担当するたびに出向したり、万全を期すためだといっていつまでも1つの特定な作業にばかり拘泥していたら、単なる一担当者になってしまうからである。
すべてやらなければわからないとか、すべてわからなければ答えが出せないというのでは、仕事にならない。いつか必ず、どこかでキリをつけて店仕舞いをしていく必要があるのも、仕事というものなのだ。
こうした若い人たちの要望は、頭で考えれば正当だし、ほめるべきものだが、残念ながらビジネスには現実というものがあって、事はそんなに単純にはいかない。
つまり彼はまだ、いまだ「ビジネスの現実」を知らず、の段階なのである。
頭がよくて優秀な人で、それなりのキャリアがある人のなかにも、このような基本にはいつまでたっても無頓着なタイプが、意外といたりする。
そういうタイプの人はやはり、物理的にも精神的にも仕事の効率がガクンと落ちて、前に進めなくなってしまう。
即効性のあるプレゼンはしっかりと身につける
ともあれ、私たち経営コンサルタントが身につけているノウハウは、あらゆる業界に応用できる可能性が高い。このことだけは納得いただけたと思う。
ということで、即効性があって、しかも楽しい「仕事の覚え方」講座を進めることにする。
その一は、プレゼンテーションのやり方。これは実は、自分の売り込み方でもあって、業界を問わずすべてのビジネスマンの必須科目になっている。
これが上手にできないと、はなはだ困る。というより、はなはだ損だ。
たとえ、あなたがほんとうは非常に仕事ができて、ちょっと他にはいないアイデアマンだったりしても、それをうまく伝えられなければ、周りの人たちは評価のしようがない。それどころか、プレゼンの場を与えられたときにオロオロして口ごもっているようでは、たちまち「こいつ、ダメだ」の評価を下されてしまうことになる。
そんなハメにならないように、プレゼンのやり方だけはしっかりと身につけておいたほうがいい。
いきなり結論からいく。
プレゼンの要素は「パッケージ」と「話法」の2つである(図表1)。
これをさらに分解していくと、パッケージはつまり内容であり、内容の良し悪しは「構成」と「スライドの書き方」で決まってくる。伝えたい内容をどんなストーリー構成に仕立てればいいか、どんなスライド(具体的には図や表やグラフなど)を用意すれば聞く人たちに理解されやすいか、である。