戦略的思考をいち早く身につけるには何をすればいいか。元ドリームインキュベータ代表で経営コンサルタントの古谷昇さんは「戦略の要諦は2つだ。1つは、ビジネスで利益を上げるには差別化要素が必要であるということ。もう1つは、どこかから手を抜いて、どこに集中させるかという資源配分をすることだ」という――。

※本稿は、古谷昇『コンサル0年目の教科書 誰も教えてくれない最速で一流になる方法』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

パズルキューブ上のカラフルなオンラインショッピングアイコン
写真=iStock.com/alice-photo
※写真はイメージです

戦略で本当に覚えるべきたった2つの要素

世に戦略論の本はいっぱい出回っている。

いろんな人が書いていて、内容もそれぞれ微妙に違う。

そうした本にも何冊か目を通してみて、それ以上に私自身の経験則から思うに、戦略の基本は次の2つに尽きる。

①差別化が利益を生む
②戦略とは資源配分である

戦略論をいち早く身につけるためには、この二大要素以外のことはとりあえず考えないほうがいい。

もちろん、戦略には他にもいろんな要素があるが、そんなものをいちいち覚えていたら、あれこれ混乱するだけで、肝心のコツがさっぱりつかめないことになる。繰り返しておくが、単純で、しかも誰にもできるものをコツという。

まず①の差別化である。

これだけを見れば実に当たり前の話にすぎないが、案外そうではない。ここを誤解している人がたくさんいる。覚えるのは上の二つだけでいいのだから、逆にこれらはキチンと押さえておいていただきたい。

ここで知っておいてもらいたいことは、自分がいかに努力したか、あるいはどんなにすごい商品を開発したかということは、「利益」とはまったく関係がないということである。

どんなにすごい商品をつくったとしても、モノマネの後追いであれ何であれ、それと同じものをほかの人がつくれるのだったら、決して利益は出ない。これはビジネスの世界は競争社会である、という認識からきている。

その商品がどんなにすごくて、どんなに人手やコストがかかって、どんなにアイデア満載で、いくら世のため人のためになるものであっても、そんなことは関係ない。

同じようなもので競争すれば、必ず叩き合いになって利益がなくなるというのが、ビジネスの世界の常なのである(ちなみに、これも前出のBCG創業者ブルース・ヘンダーソンの基本コンセプトだ)。